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北京市、大学の研究成果活用へ18項目の新措置

孫明源(科技日報記者) 2026年05月08日

 中国北京市教育委員会はこのほど、「首都の大学における科学技術成果の活用促進に関する若干の措置」を発表した。現在、大学の科学技術成果の活用をめぐっては、「活用できない、活用しにくい、方法が分からない、意欲が湧かない、踏み出せない」という5つの課題がある。同措置は、18項目の施策を通じて、大学の成果活用に制度面の保障と政策支援を提供するものだ。

 同委員会の張耀天副主任は、同措置に盛り込まれた18項目はいずれも、大学の成果活用における課題を踏まえて打ち出されたものだと説明した。狙いは、課題に応じて的確に対応し、イノベーションの成果を「書架」から「商品棚」へ移し、現実の生産力へとつなげることにある。

 現在、大学の研究と産業界のニーズの間には、依然としてかみ合わない部分がある。成果を「活用できる」ようにするため、同措置は、首都の大学による重点産業の産学連携アライアンスを基盤に、「企業が課題を出し、大学が答え、市場が評価する」というクローズドループ型のエコシステムを構築するとしている。産学共同基金や「掲榜掛帥(イノベーションプロジェクトのリーダーを、年齢や職位にとらわれず公募する仕組み)」などの方式を通じて、大学が企業の実際の課題に向き合うよう促し、大学と企業が共同保有する特許については、すでに活用された成果とみなす。

 同時に、大学内部の評価のあり方も見直す。同措置は、大学に対し、特許の出願件数や取得件数を、人材評価、昇任・昇格審査、任期中および年度評価の指標にしないよう明確に求めた。その代わりに、特許出願前の産業化評価と、年度ごとの棚卸しの仕組みを整備する。

 同措置はまた、成果を「活用しやすく」するため、制度上の障害をさらに取り除き、職務上の科学技術成果に関する権限付与改革を深める方針を打ち出した。重点的に普及させるのは、「先に権限を付与し、その後に権利を行使する」モデルである。大学による簡易な評価と指導を経た上で、権限を付与された研究者が、まず職務上の成果を使って起業し、市場での検証に速やかに入る。企業の成長が一定段階に達した後、約定に基づき、出資持分の取得や譲渡などの権利行使手続きを行う。

 また、職務上の成果を単独で管理する仕組みを徹底し、職務上の科学技術成果を評価額に基づいて出資したことで形成された持分について、価値の維持・向上を全体的にモニタリングする。収益分配の仕組みも整備し、成果を評価額に基づいて出資する場合、持分の70%以上を、研究成果を生み出したチームへの報奨とすることを明確にした。

 成果を「円滑に活用する」ため、北京市は教育部の指導の下、全国大学地域技術移転・成果活用センターの整備を本格的に進める。これは、大学の科学技術成果の活用を体系的、組織的、専門的に支えるプラットフォームが不足しているという課題に対応するものだ。同センターは、概念実証、中間試験・成熟化、応用シーンの開拓、産業インキュベーションに至るまでの全プロセスを支援する。同時に、大学ごとにチームを置き、学部・学科ごとにグループを設け、教授ごとに専任担当者を配置する活動メカニズムを構築する。市と区の連携や「補助金と投資の組み合わせ」により、概念実証資金と専門投資基金を設け、「早期投資、小規模投資、初回投資」を重視する。

 成果を「速やかに活用する」ため、同措置は、科学技術成果の活用に携わる人員の規模、保障、インセンティブが十分ではないという課題に対応し、大学の研究者が在職中または離職して科学技術成果の活用に従事するための保障メカニズムを整備する。活用の実績を評価に組み入れることも明確にした。

 また、大学に対し、研究成果の活用や技術移転を担う専門人材向けの職位・評価制度を整えるよう促し、技術移転人材のキャリア形成を支援する。さらに、大学が学位法の関連規定に基づき、活用効果が高く、省・部級以上の賞を受けた教員・学生共同プロジェクトについて、学位授与における実践成果とみなすことも奨励している。

 成果を「より質の高い形で活用する」ため、北京市は首都の各大学に対し、主要幹部が研究と成果活用を主導し、同一の大学幹部が統括する内部体制を構築するよう促す。科学技術成果の活用状況は、北京市の教育当局による大学評価にも組み入れる。さらに、京津冀(北京・天津・河北)で実装された成果活用の効果を、資源配分の重要な根拠とし、「効果と資源を連動させる」動的な配分メカニズムを形成する。

 張氏は「新政策の最も核心的なブレイクスルーは、体制・メカニズム上の制約を全面的に取り除く点にある」と説明した。関連する改革措置は、すでに北京市の大学で効果を示しているという。例えば、北京理工大学の張凱チームは「先に権限を付与し、その後に権利を行使する」モデルにより会社を設立し、技術の迅速な実装を実現した。北京建築大学は企業と共同研究センターを設立し、共同研究の成果は8つの病院の10拠点で直接活用された。北京工商大学は、成果活用による収入の90%を成果を生み出した研究者に帰属させることを明確にし、研究チームの意欲を高めた。

 張氏は、「今後、北京市は関連サービスの整備と事例の普及を進め、政策実装に向けた最後の課題を解消していく」と述べた。


※本稿は、科技日報「破除高校科技成果转化体制机制束缚」(2026年4月10日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである

 

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