中国、学会に科学普及を求める新方針 評価や人材推薦にも反映
代小佩(科技日報記者) 2026年08月31日
中国科学技術協会(中国科協)はこのほど、学会による科学普及活動の方針を示した「中国科協の新時代における全国学会の科学普及活動の質の高い発展を強化することに関する意見」(以下、「意見」)を打ち出した。「意見」では、中国科協が科学普及活動の成果を世界一流学会の評価指標体系に組み入れることが盛り込まれている。
「意見」は16項目の措置を盛り込んでおり、学会による科学普及サービスの改善や、科学普及人材の育成について示している。また、科学技術関係者を組織・指導し、科学知識の普及、科学的精神の発揚、科学的な考え方の普及、科学的方法の提唱を、果たすべき責任として位置付けている。
科学普及の役割を強化することについて、「意見」は、各学会がそれぞれの学問分野の特徴を踏まえ、計画的、組織的、体系的に科学普及活動を展開し、科学普及の拠点となることを求めている。また、科学技術関係者は科学技術イノベーションの担い手であり、科学普及活動やコンテンツ制作に関わる役割を担うとしている。学会は、科学技術関係者に科学普及コンテンツの制作や発信への参加を促すとしている。
科学普及コンテンツの創作を活発化させることについて、「意見」は、各学会が「科学技術関係者の科学普及創作ガイドライン」に基づき、関連する基本計画や活動計画を策定するよう求めている。会員による科学普及コンテンツの創作を日常的に組織し、対象者に応じた内容を作成するとともに、コンテンツの数や質、発信量、継続的な効果などを、学会が人材を推薦する際の判断材料とする。また、科学普及に関する基準体系の研究を進め、科学普及作品について、政治性、機密性、専門性、科学性、内容の分かりやすさや面白さなどの観点から審査・管理を行う。
サービスの改善について、「意見」は、青少年や農民、産業労働者、高齢者、幹部・公務員、科学技術関係者などを対象に、対象に応じて内容を調整した科学普及サービスを推進するとしている。同時に、人工知能(AI)などの新技術を活用し、科学研究施設や重点実験室などと連携して、没入型・インタラクティブ型の科学普及体験の場を整備する。このほか、学術活動と科学普及活動の連携を進め、科学技術館などと共同で科学普及イノベーション実験室を設立するとともに、科学技術成果を科学普及向けの展示物や製品に転換する取り組みを進める。また、科学普及に関するシンボルや媒体を整備し、学会ごとの科学普及ブランドを構築するとしている。
科学普及人材の育成について、「意見」は、各学会が、院士、科学技術分野のリーダー人材、若手科学技術関係者、ベテラン会員などを科学コミュニケーションの専門家チームに加えることを奨励している。また、それぞれの分野で科学技術ボランティアチームを設立し、「科普中国」などのプラットフォームを活用して、コンテンツ制作、AI活用、情報発信の手法などをテーマとする研修や意見交換を実施し、研究成果を科学普及につなげる人材の育成を進めるとしている。
「意見」では、中国科協が科学普及活動の成果を世界一流学会の評価指標体系に組み入れることにも言及している。各学会は、科学普及活動の実施状況を支部(代表)機関に対する関連評価の項目とし、科学普及コンテンツの創作や科学普及サービスの実施状況を、会員の人材推薦や職称認定の参考材料とするとしている。
※本稿は、科技日報「全国学会科普工作迎来新"路线图"」(2026年8月12日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳・転載したものである。
