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中国、国家自然科学基金の採択件数が過去最多 若手向けは5割増

Science Portal China編集部 2026年09月11日

 中国国家自然科学基金委員会(NSFC)は8月26日、2026年度国家自然科学基金の審査結果を発表した。今回、一般研究、若手研究者向けの青年科学基金、重点研究、国際共同研究など10種類の事業で、計6万9,563件が採択された。採択件数は過去最多となり、中国が基礎研究、とりわけ若手研究者の育成に対する支援を一段と強化していることがうかがえる。

一、申請件数、採択件数ともに過去最大規模

 2026年度の申請件数は47万561件で、前年の43万3,426件から8.6%増加した。このうち46万9,429件が正式に受理され、審査を経て6万9,563件が採択された。今回発表されたのは10種類の事業であり、集中申請期間に申請された一部の事業については、引き続き審査・承認が進められている。

 特に目立つのが、研究キャリア初期の研究者に対する支援の拡大である。若手研究者向けの「青年科学基金」では、C類型の採択件数が前年から1万2,046件、率にして50.1%増加した。2025年の2万4,051件から、2026年は約3万6,100件へと大幅に拡大したことになる。また、研究者が自ら研究テーマを設定する一般研究も、前年より3,400件、14.8%増加し、約2万6,400件が採択された。

二、若手研究者の早期育成と研究費の裁量拡大

 こうした若手研究者への支援拡大は、単に採択件数を増やすだけのものではない。NSFCは、研究キャリアの早い段階から研究者が独立して研究を進められる環境を整備するため、青年科学基金C類型について、研究費の使用における自由度も高めている。青年科学基金A・B・C類型では、研究費を細かな項目ごとに管理するのではなく、総額の範囲内で研究者が柔軟に配分できる「研究費総額管理制(包干制)」が導入されている。

三、「非コンセンサス型」研究への支援も強化

 一方で、2026年度のNSFCが重視しているのは、若手研究者支援だけではない。既存の研究評価では採択されにくい、独創性の高い「非コンセンサス型」の研究に対する支援も強化している。NSFCは2025年から、「重大非コンセンサス項目(重大非共识项目)」を試行的に導入した。これは、専門家の間で評価が大きく分かれる場合であっても、既存の研究の枠組みを大きく変える可能性や高い波及効果を持つ研究を別枠で発掘し、支援するための仕組みである。2026年度には、生命科学・化学・工学・材料などの分野で関連研究課題の発掘が進められており、新たな概念・理論・方法を提示する研究や、既存の研究パラダイムを転換する可能性を持つ研究が重点的に支援される。

四、「量」から「人材」と「新規性」へ

 国家自然科学基金は1986年に設立され、中国の基礎研究を支える主要な国家資金の一つである。一般研究をはじめ、重点・重大研究、若手研究者向け基金、地域科学基金、学際研究、国際共同研究など幅広い事業を通じて、中国の研究基盤の強化と研究人材の育成を担ってきた。

 今回の採択結果からは、2026年の中国が基礎研究政策において、「研究資金の規模拡大」に加えて、「若手研究者の早期育成」と「既存の評価体系では拾いにくい独創的研究の発掘」を同時に進めていることが読み取れる。特に若手研究者C類型の採択件数を約5割増加させ、研究費の使用についても裁量を広げたことは、研究キャリアの早期段階から独立した研究者を育成しようとする中国の姿勢を示すものといえる。

 若手研究者の裾野を広げながら、既存の研究領域の延長線上にない「非コンセンサス型」の研究にも資金を配分する――。2026年度の国家自然科学基金は、中国が基礎研究の「量」だけでなく、「人材」と「研究の新規性」を重視する方向へと支援政策を広げていることを示すものとなった。

 

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