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2026年ブレークスルー賞発表 華人女性数学者3人が受賞

Science Portal China編集部 2026年04月27日

 4月18日、「科学界のアカデミー賞」とも称されるブレークスルー賞の2026年受賞者が発表された。同賞は、生命科学、基礎物理学、数学で顕著な成果を挙げた研究者を表彰するもので、今回は計6件の賞が授与され、賞金はいずれも300万ドル(1ドル=約160円)に上る。

 生命科学では、遺伝性疾患の遺伝子治療や神経変性疾患の研究成果などが評価された。基礎物理学と数学では、自然界の基本的相互作用に関する理論・検証や、波動現象に関わる数学的研究などが対象となった。

 このうち数学分野では、華人女性数学者の王虹氏、唐雲清氏、張明嘉氏の3人が選出された。王氏と唐氏は「数学新視野賞」を、張氏は「マリアム・ミルザハニ新フロンティア賞」を受賞した。

王虹氏:「掛谷予想」を解決

 王虹氏は、フランス高等科学研究所とニューヨーク大学クーラント数理科学研究所に所属する数学者で、専門は調和解析である。調和解析は、関数を波動成分に分解し、その構造を調べる分野で、偏微分方程式や信号処理などとも関係がある。

 ジョシュア・ザール氏との共同研究では、3次元における「掛谷予想」を解決した。掛谷予想は、幾何学と解析学が交わる問題として知られ、高次元空間の性質を考えるうえでも重要なテーマとされる。

 2025年10月には、セーラム賞と国際華人数学者大会(ICCM)数学金賞を相次いで受賞している。

唐雲清氏:「無界分母予想」を解決

 唐雲清氏は数論を専門とする数学者である。数論は、整数や方程式の性質を研究する分野で、素数や解の存在といった基本的な問題も扱う。

 ヴェセリン・ディミトロフ氏との共同研究により、「無界分母予想」と呼ばれる問題を解決した。同予想は、モジュラー形式と呼ばれる関数に関係し、楕円曲線やフェルマーの最終定理など、現代数論の重要なテーマともつながる。

 唐氏はこのほか、無限級数に関連する定数の無理性に関する成果でも知られる。無理性とは、その数が2つの整数の比として表せないことを指す。

張明嘉氏:「志村多様体」を研究

 マリアム・ミルザハニ新フロンティア賞は、博士号取得直後の優れた女性数学者に授与される賞である。今年の受賞者の一人である張明嘉氏は、いわゆる「ポスト95(1995年以降生まれ)」世代の若手研究者である。

 張氏は2018年に北京大学を卒業し、2023年にドイツのボン大学で博士号を取得した。指導教員はフィールズ賞受賞者のペーター・ショルツェ氏である。

 研究分野は数論と代数幾何学の交差領域で、志村多様体と呼ばれる高次元幾何対象を扱う。著名な数学者によって提唱された「積公式」の幾何学的構造を理解するうえで、新たな視点を示したと評価されている。

 

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