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「磁石でない材料」に磁性を伝える アルター磁性近接効果を解明

夏 凡(科技日報記者) 姚 瑶(科技日報通信員) 2026年06月16日

 寧波東方理工大学理学部の周通副教授の研究チームが、磁性およびスピントロニクス分野で、アルター磁性近接効果を初めて解明した。研究チームは、アルター磁性の界面工学や機能化応用につながる成果だとしている。関連成果はこのほど国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載され、編集部推薦論文にも選出されたほか、米国物理学会の「Physics」でも特集された。

 物理学では、2種類の材料が互いに接触すると、その物理的特性が界面を通じて相互に影響し合い、さらには伝達されることがある。これは「近接効果」と呼ばれる現象である。この種の界面効果は、超伝導量子デバイスやスピントロニクスの発展を支える重要な物理的基盤となっている。

 近年、アルター磁性への関心が高まっている。アルター磁性体は、強磁性体が持つスピン分極特性と、反強磁性体が持つ漂遊磁界のない性質および高い固有周波数という双方の利点を兼ね備えており、情報記憶の速度、密度、エネルギー効率の向上につながる可能性がある。しかし、単一のアルター磁性体では物性が依然として限定的であり、実験的に確認された材料の種類も限られているため、その応用・発展を一定程度制約している。近接効果は異なる物性を統合する有効な手段だが、アルター磁性はスピン副格子間の結晶対称性関係に由来するため、近接効果がアルター磁性に適用可能かどうかは、これまで明確ではなかった。

 研究チームは、典型的なアルター磁性材料であるV2Se2Oを例に、非磁性材料PbOとのヘテロ構造を構築した。そして複数の観点から、本来は非磁性であるPbOが、界面結合を通じてV2Se2O由来のアルター磁性を獲得し、すなわちアルター磁化されることを証明した。研究チームは、このように界面を越えてアルター磁性を伝達できる新たな界面メカニズムを「アルター磁性近接効果」と名付けた。周氏は、「この過程では、電子波動関数が界面で拡張と混成を起こし、アルター磁性特有の運動量依存型スピン分裂が、もともとスピン縮退状態にあった非磁性材料へと伝達される」と説明した。

 研究チームはさらに、他の典型的なアルター磁性系でもアルター磁性近接効果の普遍性を検証し、2次元から3次元、絶縁体から金属まで、複数種類の材料プラットフォームを網羅した。研究の結果、結晶格子対称性が一致していないヘテロ構造においても、非磁性材料はスピン状態の再構築を通じて有効にアルター磁性を獲得できることが分かった。これは、スピン電子構造が自己適応的な能力を備えていることを示している。

 このメカニズムにより、従来は同一材料体系内で共存が難しかった複数の物性を、ヘテロ構造設計によって統一プラットフォームに統合することが可能となる。また、アルター磁性近接効果は、将来の量子材料やデバイス設計への応用が期待されている。


※本稿は、科技日報「交错磁近邻效应首次揭示」(2026年5月7日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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