中国工業・情報化部、「AI+情報通信」3カ年計画を発表
Science Portal China編集部 2026年06月18日
中国工業・情報化部は10日、「人工知能(AI)+情報通信」イノベーション発展実施意見(2026~2028年)を発表した。AIと情報通信技術(ICT)の融合を加速させ、通信ネットワークの高度な自律運用や計算インフラの整備を推進する方針を示した。
同計画では、2028年までに情報通信分野におけるAI活用を本格化し、通信事業者の運営・サービス能力を国際的な先進水準へ引き上げることを目標としている。また、情報通信ネットワークの高度な自律運用を実現するとともに、30件以上の高価値な典型的活用シーンを創出し、特色あるAIエージェントの育成も進める。
さらに、AIの発展を支える基盤整備として、通信ネットワークと計算資源(コンピューティング能力)の強化を推進する。都市圏では「1ミリ秒コンピューティング圏」のカバー率を75%以上に高め、低遅延でAIサービスを利用できる環境の整備を目指す。
4分野・17項目の重点施策
今回公表された実施意見では、
1. 情報通信業界のデジタル・スマート化の推進
2. AI発展基盤の強化
3. AIと情報通信の融合応用の拡大
4. 業界ガバナンス能力の向上
の4分野を柱とし、計17項目の具体的な施策を打ち出した。なかでもAI発展基盤の強化では、「ネットワーク」「計算資源(コンピューティング能力)」「算網(ネットワークと計算資源を一体化した基盤)」の3分野を重点領域に位置付けている。
3つの重点行動を推進
同政策では、
1. ネットワーク自律運用能力向上行動
2. インテリジェント・コンピューティング・ネットワークの技術・産業能力向上行動
3. インテリジェント・コンピューティング・サービス能力向上行動
の3つを重点プロジェクトとして推進する。このうち、インテリジェント・コンピューティング・ネットワーク分野では、高速光電チップや光スイッチ技術、光電コパッケージング(CPO:Co-Packaged Optics)などの研究開発を強化する方針を示した。また、大規模AI向け計算基盤で必要となる光電相互接続技術の実証も進める。インテリジェント・コンピューティング・サービス分野では、「計算資源・データ・AIモデル・アプリケーション」を統合したサービス基盤の構築を推進し、AIモデルの開発から運用までを一貫して支援するエコシステムの形成を目指す。
5G-Aや6Gとの融合も推進
工業・情報化部は今後、5G-Advanced(5G-A)や6G、次世代光ネットワーク、IPv6+、産業インターネットとAIの融合技術開発を加速する方針だ。具体的には、通信ネットワークの高度な自律運用、ネットワーク組み込み型AI、宇宙・地上統合型の計算ネットワーク、AIエージェントを活用した次世代インターネットなどを重点研究分野として挙げている。また、5G基地局や光ネットワークのエッジ設備にAI推論向けの計算資源を配置し、交通、製造、低空経済、エンターテインメントなどの分野でリアルタイムAIサービスを提供する構想も盛り込まれた。
2030年に「通信・センシング・計算・知能」の一体化を目指す
同部は2030年までの長期目標として、AIと通信ネットワークの融合分野で重要技術のブレークスルーを実現し、「通信・センシング・計算・知能」を一体化したサービス基盤の構築を目指す方針を示した。AIと情報通信の融合を国家戦略として推進し、ネットワークインフラから産業応用までを一体的に整備することで、中国のAI競争力のさらなる強化を図る考えだ。
参考リンク
- 中華人民共和国工業・情報化部「工业和信息化部关于印发《"人工智能+信息通信"创新发展实施意见(2026--2028年)》的通知」
