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中国で広がる「AI中継サービス」 信頼性の見極めが課題に

楊 雪(科技日報記者) 2026年07月08日

 中国内外の大規模言語モデルへのアクセスサービスを一括提供する「AI中継サービス」が近ごろ、中国国内で急速に人気を集めている。一方で、一部の「AI中継サービス」では、運営資格の欠如、セキュリティ対策の脆弱さ、ユーザーのプライバシー漏えいやデータ転売などの問題がたびたび発生しており、関連するリスクが注目されている。このため、中国の国家安全部門はこれらの問題を踏まえたリスク注意喚起を発表した。

 新たなネットワークサービスモデルとしての「AI中継サービス」とは何か。どのような種類があり、なぜ中国国内で急速に人気を集めたのか。また、なぜさまざまなリスクが存在するのか。利用時のリスクを回避し、信頼できる「AI中継サービス」を見分けるにはどうすればよいのか。

「AI中継サービス」の主なタイプ

「AI中継サービス」は、ユーザーとAIモデル提供事業者の公式サービスとの間に位置する仲介層である。各AIモデル事業者のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を一つのプラットフォーム上に統合し、ユーザーに提供することで、ユーザーと大規模言語モデルとの「仲介役」となり、複数の大規模言語モデルをより手軽に利用できるようにする。

 中国移動(チャイナ・モバイル)クラウド能力センターの大規模言語モデル上級技術専門家、季琰氏によると、現在市場に存在する「AI中継サービス」は品質にばらつきがあり、コンプライアンス資格、技術アーキテクチャ、運営モデルに基づいて3つのタイプに分類できる。リスクの度合いも順に高くなるという。

 第1のタイプは、クラウド事業者によるコンプライアンス対応型の統合中継サービスである。これは公式のMaaS(Model as a Service、モデル・アズ・ア・サービス)に属し、大手クラウド事業者の演算能力基盤とコンプライアンス体制を活用する。自社開発モデル、クローズドソースモデル、オープンソースモデルを含む各種大規模言語モデルを提供し、政府機関や企業の商用利用における主流の選択肢となっている。中国移動のMoMA、アリババクラウド(阿里雲)の百錬、ByteDance(字節跳動)の火山方舟など、大手国有企業や大手IT企業が運営するコンプライアンス対応プラットフォームが代表例である。

 第2のタイプは、正規のAPI代理中継サービスである。企業が大規模言語モデルの公式API利用枠を一括購入し、適法にAPIサービスを再販売するもので、サービスの安定性は中程度であり、コンプライアンス上のリスクは比較的低い。

 第3のタイプは、グレー・ブラック産業による中継サービスである。共有アカウントをプール化して分割販売したり、クローラーやリバースエンジニアリングを利用して海外大規模言語モデルのWebインターフェースを不正利用したりして構築されるもので、公式の認可を受けていない。アカウント停止のリスクが高く、同時接続数にも制限があり、アフターサービスも保証されない。権利侵害やコンプライアンス違反、データ窃取、サービスの突然停止など複数のリスクを抱えており、商用プロジェクトや機密業務への利用には適さない。

収益モデルに潜むリスク

「AI中継サービス」の登場により、ユーザーはワンストップで多様な利用ニーズを満たせるようになり、低価格かつ利便性の高いサービスとして市場の空白を埋めてきた。しかし、粗放な発展や無秩序な運営により、さまざまなセキュリティリスクも生じている。その背景を理解するには、まず収益モデルを見る必要がある。

 現在、「AI中継サービス」の収益モデルは、大きく「適法な収益モデル」と「グレー・ブラックな違法収益モデル」の2つに分けられる。季氏によると、正規の適法なプラットフォームは、リソースの価格差と付加価値サービスを主な収益源としている。企業向け一括調達による割引価格でAIモデルの演算能力やAPIを購入し、適正な価格を上乗せしてユーザーに提供する。これに加え、プライベートデプロイメント、運用保守支援、カスタマイズ開発、セキュリティ監査などの付加価値サービスを提供することで、長期的かつ適法な収益モデルを構築している。

 一方、グレー・ブラック産業による中継サービスの収益手法には大きなリスクが伴う。例えば、小規模言語モデルを高性能な大規模言語モデルと偽って宣伝し利益を得る、ユーザーの対話内容や商業データを保存して転売する、さらには低価格でユーザーを囲い込み、課金後に突然サービスを停止し、資金を持ち逃げするといった手口がある。

利用前に確認すべき3つの基準

 季氏は、リスクを回避し、優良なプラットフォームを見極めるためには、次の3つの基準に従うことを提案している。

 第1に、運営主体の資格を確認することである。国有企業や大手クラウド事業者の公式プラットフォームを優先的に選び、企業登記情報、ウェブサイトの届出状況、データコンプライアンス資格を確認する。個人運営のサイトや、知名度が低く、届出もないサイトは避けるべきである。

 例えば、中国移動が独自開発したコンプライアンス対応モデルサービスプラットフォーム「MoMA」は、コスト削減の面では、スケールメリットと技術力を生かし、国内外300種類以上の主要な大規模言語モデルを統合している。自社開発モデル、オープンソースモデル、クローズドソースモデル、機密モデルなど、あらゆる種類のモデルを網羅し、一つのAPIで必要に応じて各モデルを利用できるため、接続コストを大幅に削減できる。また、基盤となるネイティブAI演算基盤によって推論アーキテクチャを最適化し、モデル利用コストを30%以上削減している。

 コンプライアンス面では、MoMAは中国移動クラウドの国有企業としての資格を生かし、データを外部へ持ち出さず保存もしない仕組みや、機密モデルへの対応、全工程にわたるコンプライアンス監査を実現している。中国国内のデータセキュリティ関連法規に適合しており、政府、金融、工業など、高度な機密性が求められる商用分野に適している。

 第2に、AIモデルとの接続元を確認することである。公式APIを直接利用する提携プラットフォームを選び、リバースエンジニアリングや共有アカウントプールによるサービスは避けるべきである。また、市場価格を大幅に下回る低価格による誘導や、無制限利用プランの罠にはまらないようにする。

 第3に、セキュリティ管理能力を確認することである。データを外部に流出させない保存・管理、全プロセスのログ監査、データの匿名化、アクセス権限管理などの機能を備えたプラットフォームを選び、業務データや商業情報の漏えい・流出を防ぐべきである。商用利用では、グレー・ブラック産業による中継サービスの利用を厳禁し、法的・事業的リスクを根本から回避する。


※本稿は、科技日報「如何甄别靠谱的"AI中转站"」(2026年6月15日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載した。

 

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