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中国国家自然科学基金委員会(NSFC)、2025年度報告書を公表

Science Portal China編集部 2026年07月17日

 中国国家自然科学基金委員会(NSFC)は6月30日、「2025年度報告書」を公表し、2025年度の国家自然科学基金の財政予算や研究課題の申請・採択状況などを公開した。

一、支援状況

 2025年、NSFCは2,641の研究実施機関から45万5,700件の研究課題申請を受理し、このうち5万8,800件を採択し、総額370億6,900万元(約8,423億円)の研究費を配分した。2025年度の国家自然科学基金の当初予算は394億9,000万元(約8,974億円)で、このうち研究課題への配分予算は387億7,000万元(約8,810億円)となった。

 課題区分別では、「一般プロジェクト(※)」と「青年科学基金C類」が予算の大きな割合を占めた。NSFCの基幹的な基礎研究支援事業である「一般プロジェクト」では、2025年に19万9,223件の申請があり、このうち2万3,034件が採択され、採択率は11.56%であった。

(※)一般プロジェクトは、基礎研究分野の研究者がNSFCの支援対象分野において自由に研究テーマを設定し、独創的な研究を実施できるよう支援する制度である。

表1 2025年度 国家自然科学基金主要課題別予算
課題区分 予算(万元) 課題区分 予算(万元)
一般プロジェクト 1,493,630 地域科学基金プロジェクト 155,143
重点プロジェクト 228,500 共同基金プロジェクト 88,255
重大プロジェクト 93,322 国家重大科学研究機器開発プロジェクト 105,637
重大研究計画プロジェクト 91,266 卓越研究グループプロジェクト 154,090
国際・地域共同研究プロジェクト 89,359 特別プロジェクト 115,699
青年科学基金C類 828,253 数学天元基金プロジェクト 6,950
青年科学基金B類 147,900 外国人研究者基金プロジェクト 27,569
青年科学基金A類 181,333 国際・地域学術交流プロジェクト 3,586
イノベーション研究グループプロジェクト 51,696 グローバル科学研究基金プロジェクト 15,082
合計 3,877,270(約8,810億円)

二、分野別の採択状況

 2025年度の一般プロジェクトでは、医学科学部門が申請件数5万8,992件、採択件数5,263件と最も多かった。一方、採択率は8.92%と最も低く、競争が最も激しい分野となった。

 採択率が高かった分野は、数理・物理科学(14.84%)、地球科学(14.55%)、マネジメント科学(14.16%)であった。

表2 2025年度 一般プロジェクト分野別申請・採択状況
科学部門 申請件数 採択件数 採択率
数理・物理科学 14,305 2,123 14.84%
化学科学 16,999 2,261 13.30%
生命科学 28,886 3,616 12.52%
地球科学 16,418 2,388 14.55%
工学・材料科学 35,656 3,961 11.11%
情報科学 21,284 2,476 11.63%
マネジメント科学 6,683 946 14.16%
医学科学 58,992 5,263 8.92%

三、研究者構成

 一般プロジェクトの研究代表者は36~40歳が7,365人(31.97%)と最も多かった。また、研究チームの構成では、修士課程学生が7万5,458人(38.77%)と最も高い割合を占めた。

 NSFCは2025年、従来の「国家傑出青年科学基金(傑青)」「優秀青年科学基金(優青)」「青年科学基金」を再編し、「青年科学基金A・B・C類」の新たな制度へ移行した。このうち、最も支援件数・予算規模が大きいC類を中心に、若手研究者層の裾野拡大を図っている。A類およびB類は優秀な若手研究者の選抜・育成を目的とする一方、C類は研究キャリア初期の若手研究者による独立した研究を支援する制度である。

表3 2025年 青年人材支援制度の再編
改編前 改編後 支援規模 主な目的
国家傑出青年科学基金(傑青) A類 450件 卓越した若手研究者を安定的に支援し、科学技術分野のリーダーへ育成
優秀青年科学基金(優青) B類 800件 将来性の高い若手研究者を重点支援
青年科学基金 C類 24,051件 キャリア初期の若手研究者による独立研究を支援

 青年科学基金C類では2万4,051件が採択され、採択率は14.38%となった。分野別では、医学科学部門の申請件数が5万5,073件、採択件数が5,811件と最も多かったものの、採択率は10.55%と最も低く、競争が最も激しい分野となった。一方、数理・物理科学分野では採択率が20.83%と最も高く、研究分野によって競争率に大きな差がみられた。

表4 2025年度 青年科学基金C類 分野別申請・採択状況
科学部門 申請件数 採択件数 採択率
数理・物理科学 11,397 2,374 20.83%
化学科学 13,900 2,182 15.70%
生命科学 23,632 3,302 13.97%
地球科学 12,406 2,306 18.59%
工学・材料科学 26,047 4,116 15.80%
情報科学 16,043 2,814 17.54%
マネジメント科学 8,787 1,146 13.04%
医学科学 55,073 5,811 10.55%

 今回の報告書からは、中国が基礎研究への継続的な投資に加え、若手研究者への支援を拡充することで研究基盤の強化を進めていることが読み取れる。特に、青年科学基金制度をA・B・C類へ再編し、キャリア初期の研究者への支援を拡充したことは、将来の科学技術人材の育成を重視する姿勢を示すものといえる。また、医学科学分野では申請件数が突出する一方で採択率が最も低く、ライフサイエンス分野を中心に研究開発競争が激しいことも明らかとなった。

参考資料

 

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