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APEC成都声明、AI協力の新たな方向性を提示

Science Portal China編集部 2026年08月03日

 中国四川省成都市で7月23~24日、APECデジタル・AI閣僚級会議およびAPEC AIハイレベルフォーラムが開催された。会議では、閣僚級会議の成果文書として「2026年APECデジタル・AI閣僚声明(成都声明)」が採択されるとともに、「APEC人工知能ハイレベルフォーラム・アジア太平洋地域におけるAI発展促進に関する声明」が公表され、今後のAPECにおけるデジタル・AI分野の協力の方向性が示された。

 成都声明では、「デジタル・AI技術によるアジア太平洋共同体のエンパワーメント」を基本理念に掲げ、通信ネットワークやコンピューティング能力(算力)などのデジタル・AIインフラの整備、AIを活用した産業のデジタル転換(AI+)、中小企業のデジタル化支援、AI人材の育成、デジタルスキルの向上、デジタル格差の是正、地域協力の強化などを重点分野として位置付けた。AIを一部の先端産業だけでなく、中小企業や地域経済へ広く普及させ、経済成長と包摂性を両立させようとする姿勢が打ち出された点が特徴である。

AIハイレベルフォーラム声明の4つの柱

 AIハイレベルフォーラムで公表された声明では、今後のAI協力の方向性として、次の4つの柱が示された。

  ・AIの安全な発展
・AIの責任ある普及
・AIイノベーションを促進する環境整備
・包摂的な国際協力

 声明では、安全性・信頼性・レジリエンスを備えたAIインフラの整備やAIリスク管理に関する経験共有を進めるとともに、AI教育や人材育成、AIリテラシー向上を通じて、社会全体への責任あるAIの普及を促進するとしている。また、リスクへの対応とイノベーション促進の両立を図りながら、データ保護や知的財産権を尊重しつつ、安全対策を講じたオープンソースAIモデルやプロジェクトを支持する方針も盛り込まれた。中国政府は近年、オープンソースAIをAI産業の発展や国際協力を推進する重要な手段として位置付けており、その考え方がAPECの地域協力にも反映された形となった。能力構築や知識共有、官民連携、オープンな対話を通じて、AIの恩恵を地域全体で共有することも掲げられている。

李楽成部長、「算力」整備の重要性を強調

 会議で議長を務めた中国工業・情報化部の李楽成部長は、通信・コンピューティングインフラ(算力インフラ)の整備加速に加え、伝統産業のデジタル・AI化や、中小企業による軽量デジタルツールの活用促進などについて共通認識が得られたと説明した。また、こうした取り組みにより、人間中心で各エコノミーの実情に即した発展を支援していく考えを示した。この発言からは、中国国内で推進されている「AI+産業」や「包摂的AI」といった政策理念を、APEC域内の地域協力へ広げようとする姿勢がうかがえる。

データ越境流通でも新たな取り組み

 中国は今回、新たな取り組みとして、深圳・前海に「APECデータ越境流動協力中国センター」を設立すると発表した。同センターでは、データ越境流通をめぐる政策やルール、産業面での連携を進め、アジア太平洋地域における協力を後押しするとしている。

 今回の成都声明は、AIの安全性とイノベーションの両立を掲げるだけでなく、コンピューティング能力(算力)やデータ越境流通といったAIを支える基盤整備、人材育成、中小企業支援まで含めた包括的な地域協力の方向性を示した点に特徴がある。また、オープンソースAIへの支持やデータ越境流通に関する新たな協力枠組みの提案は、中国が近年国内で推進する「AI+」政策やオープンソースAI戦略をAPECの地域協力へ接続し、AIガバナンスやデジタル経済分野における地域ルール形成で積極的な役割を果たそうとする姿勢を示すものとして、今後の展開が注目される。

 

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