中国の海南大学海洋クリーンエネルギーイノベーションチームがシンガポール国立大学と共同で開発した「スマートナノシールド」技術により、亜鉛電池が天然海水中で4268時間(約178日)待機可能となり、保護処理を施していない電池に比べて寿命が16倍向上した。13日、海南省科学技術庁が明らかにした。研究成果はこのほど、学術誌『Advanced Materials』に掲載された。科技日報が伝えた。
水系亜鉛電池は安全性と低コスト性から大規模エネルギー貯蔵の有力候補とされており、天然海水を電解液として直接利用する「海水ベース電池」は、現地調達が可能で、コストの優位性を持つことから注目を集めている。
研究チームのリーダーである、海南大学の田新竜教授は、「海水に含まれる塩化物イオンは腐食性が強く、亜鉛負極の腐食、水素発生反応、亜鉛デンドライト生成を引き起こし、電池性能の急速な劣化を招く。これは業界が直面する中核的な課題だった」と説明した。
研究チームは、成熟した超音波スプレー技術を採用し、安価なアセチルアセトナト亜鉛(ZA)材料を厚さ10マイクロメートル未満のコーティングに加工し、亜鉛負極に「二重防御壁」を構築した。このコーティングの表面が負電荷を帯びており、塩化物イオンを反発して腐食を抑制する一方、亜鉛イオンとの高い親和性を有し、その規則的な析出を誘導することでデンドライトの生成を回避する。これにより、腐食抑制と高効率イオン伝導の両立が実現した。
研究チームの中心メンバーで、海南大学の史暁東副教授は、「この技術は応用の見通しが明確だ。海上風力発電や太陽光発電に併設する長期エネルギー貯蔵施設への適用、海洋牧場や深海養殖用ケージにおけるセンサーや通信基地局への電力供給、島嶼部への電力供給を支援し、ディーゼル発電や淡水への依存を低減できる。超音波スプレーコーティング技術はコストが低く、量産化が容易であるため、産業化の基盤を築く。本技術が普及すれば、海洋エネルギー供給に新たなソリューションを提供することが期待される」と語った。