北京大学生命科学学院の羅述金氏の研究グループと共同研究チームは、古代DNA解析により、ベンガルヤマネコが仰韶文化期(B.C.5000~B.C.3000)から後漢(25年~220年)末期まで約3500年にわたり人類と共存していたことを確認した。一方、イエネコがシルクロードの商人を通じて中国に伝来したのは唐代(618年~907年)前後だったことが明らかになった。研究成果はこのほど、国際学術誌「Cell Genomics」に掲載された。光明日報が伝えた。
羅氏によると、中国で最も古いネコ科動物の考古学的証拠は、約5000年前の陝西省泉護村遺跡にさかのぼる。かつては人との密接な関係を示す骨格であることから、初期のイエネコと考えられていたが、その後の研究により、イエネコと体格が近く、アジアに広く分布するベンガルヤマネコであることが確認された。このため、イエネコがいつ、どのような経路で中国に入ったのかは、長らく不明とされてきた。
研究チームはこの謎を解明するため、人類の居住環境から出土し、5000年以上の年代幅をもつ小型ネコ科動物の骨22点を収集・解析した。これらは、中国で確認されている古代ネコ類遺存の大部分をカバーしているという。古代DNA解析の結果、22点すべてのミトコンドリアゲノムと、7点の全ゲノムが取得された。このうち1点はアジアヤマネコ、7点はベンガルヤマネコで、年代は新石器時代後期の仰韶文化期から後漢末期まで連続しており、ベンガルヤマネコと人類の長期的な共存関係が示された。
羅氏によると、残る14点はイエネコと判定され、いずれも唐代以降の資料だった。現在までに確認されている中国最古のイエネコの遺骸は、陝西省靖辺県の統万城遺跡の唐代層から出土し、炭素14年代測定では約1200年前の西暦706~883年に相当する。ゲノムにもとづく表現型解析では、このイエネコは雄で、毛色は純白または白斑を伴うキジトラ系、短毛で長い尾をもち、現代のイエネコに見られる代表的な遺伝性疾患は確認されなかった。文献史料や考古学的図像を踏まえると、イエネコの中国伝来は出土年代よりやや早く、6~7世紀の唐代前後と推定される。
羅氏は、「ゲノム分析により、イエネコが中国に伝来したルートも明確になった。唐代のイエネコは、同時期にカザフスタン・ジャンクェント遺跡から出土したイエネコ、そして近東レバント地域に広く分布したアフリカヤマネコおよびイエネコと遺伝的に近縁だった。この三地域はいずれも陸上シルクロードの重要な中枢に位置しており、イエネコが地中海東岸から中央アジアを経由し、商人たちの往来とともに中国へ伝来した可能性が非常に高い」と述べた。