南極のポリニア、すなわち海氷に囲まれた氷のない水域は、その面積をはるかに上回る重要な炭素貯留の役割を担っている。北京大学都市・環境学院の王学軍教授と劉茂甸研究員が率いる国際研究チームは、これらのポリニアが南極周辺海域において長らく見過ごされてきた「重要な炭素吸収源」であり、地球温暖化がその炭素貯蔵能力を著しく高めていることを明らかにした。研究成果はこのほど、国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。光明日報が伝えた。
研究チームは、271件の堆積物サンプルと86本のコア試料の高分解能記録を分析することで、これまでにない包括的な南極沿岸ポリニアの堆積物データベースを構築し、その炭素貯蔵効率を定量化した。その結果、南極沿岸ポリニアの総面積は南極海全体の約3%に過ぎないものの、南極周辺海域の現代堆積物における有機炭素貯蔵総量の約42%に貢献していることが判明した。その単位面積当たりの炭素貯蔵速度は、南極周辺海域の他の大陸棚地域の約8倍、深海域の約90倍にもなる。中でも、プリッツ湾、ロンネ、ロスという3つのポリニアは特に顕著な働きを示し、南極周辺海域の総面積の約1%にもかかわらず、その炭素貯蔵量は南極周辺海域全体の13%に達している。王氏は、「面積は小さいが、効率が非常に高い『スーパー工場』のようなものだ。これらはまさに炭素貯蔵のホットスポットだ」と語った。
劉氏は、「より重要なのは、気候変動とポリニアの炭素吸収機能との間に密接な関連性があることが研究で明らかになった点だ。過去1万2000年の間、地球温暖化が進むにつれて、南極沿岸ポリニアの炭素貯蔵能力は9倍に増え、堆積物中の有機炭素含有量も4倍に増加した。その背景として、温暖化により無氷期が長期化し、開放水域が拡大したことで、植物プランクトンの生産が促進されたことが挙げられる。さらに、棚氷の融解によって供給される栄養物質に加え、放出された微細粒子が有機炭素と結合して保護層を形成し、沈降過程で分解されにくくなることで、有機炭素が効率的に貯蔵されるようになった」と説明した。
チームメンバーの周誠真氏は、「南極のポリニアという特殊な環境で、気候温暖化が逆に強力な自然の炭素貯蔵メカニズムを活性化させている。これは温暖化に対する負のフィードバックを形成しうるものだ。これまでの気候モデルでは、この重要な炭素吸収プロセスがほとんど考慮されてこなかったが、本研究は次世代の地球システムモデルにおいて、南極周辺海域の炭素循環をより正確にシミュレートするための重要な知見を提供する」と述べた。