中国の山西大学はこのほど、汕頭大学、南京師範大学などとの共同研究で、湖北省鄖県(現在の十堰市・鄖陽区)で発見されたホモ・エレクトス(直立人)の頭蓋骨化石の年代が、約177万年前であることを確認した。これまで、鄖県人化石の年代は110万年前を超えないと考えられてきた。今回の結果は、初期人類がユーラシア大陸へ拡散した時期や様式について、学界に再検討を促すもので、東アジアにおける初期人類の移動史に関する理解に影響を与えるとみられる。関連成果は学術誌「Science Advances」に掲載された。科技日報が伝えた。
人類はアフリカを起源とするという見方は、長年にわたり学界で広く共有されてきた。一方で、初期人類がユーラシア大陸、特に東アジアへ拡散した具体的な時期については、これまで議論が分かれてきた。山西大学歴史文化学院の馮小波教授によると、研究チームは宇宙線生成核種埋没年代測定法を用い、鄖県人化石が出土した地層の年代を再測定した。この方法は、堆積物中の石英鉱物に含まれる宇宙線生成核種であるアルミニウム26(26Al)とベリリウム10(10Be)を分析し、堆積物が地中に埋没した時期を特定するもので、これらの核種は、二次宇宙線が地表の石英鉱物に衝突することで生成され、これらの石英粒子が運搬・堆積され、地層に深く埋没すると、宇宙線生成核種の生成はほぼ停止するという。
両核種は半減期が異なるため、その濃度比は時間とともに変化し、信頼性の高い「地質時計」として機能するため、石英試料中の2種類の核種比の変化から、化石を含む地層の堆積年代を算出することができる。この方法の理論的な測定範囲は10万年から500万年で、古人類進化の重要な段階をちょうどカバーしており、考古年代学研究において重要な意義を持つという。
研究チームは人類化石が出土した地層から石英質礫石の試料10点を採取し、それらの宇宙線生成核種の濃度を測定するとともに、等時線(アイソクロン)を構築して堆積年代を算出した。その結果、この地層の年代は177±8万年と推定された。この成果により、鄖県人化石は、東アジアでこれまでに確認されてきたホモ・エレクトス頭蓋骨化石の中でも、年代が最も古い部類に位置づけられることになった。また、初期人類がアフリカを出てアジアに到達した時期に関する従来の見解を再検討する材料になるとみられる。