2026年03月02日-03月06日
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変換効率15%超、次世代薄膜太陽電池で新たな進展

2026年03月03日

 中国科学院青島生物エネルギー過程研究所の研究チームはこのほど、新型の太陽電池材料を用いたセルで光電変換効率が15%を超えたと発表し、第三者機関による認証も取得した。関連成果は、エネルギー・材料分野の国際学術誌「Nature Energy」に掲載された。中央テレビニュースが伝えた。

 この技術の中核材料は、銅・亜鉛・スズ・硫黄・セレン(CZTSSe)だ。この材料は、供給源が広く、主要元素が地殻中に豊富に存在し、レアメタルに依存せず、材料コストが低い。溶液法による製造が可能で、製造コストも抑えられ、薄膜型電池であるため材料使用量も少ない。さらに、有害元素を含まない安全・環境配慮型材料であり、大規模応用に適し、複雑な環境下でも性能を維持できるという。これらの利点から、CZTSSe太陽電池は有望な次世代太陽電池技術として期待されている。

 しかし、この材料は「素性は優れている」一方で、長年にわたり研究者を悩ませてきた重大な課題があった。それは、高温製造プロセスにおいて、材料内部の金属イオンが自由に動き回りやすいことだ。これは家を建てる際にレンガや鉄筋が勝手に動き回るようなもので、結果として構造が不安定になり、性能も向上しない。これがCZTSSe太陽電池の変換効率が長らく伸び悩んできた重要な要因でもあった。

 この問題を解決するため、研究チームは材料内部に「界面相」と呼ばれる層を導入し、「交通整理役」として機能させた。Li₂SnS₃と呼ばれるこの特殊構造は、重要な反応過程において金属イオンを正しい経路へ誘導し、結晶構造をより均一かつ安定なものにすることで、「自由に動き回る材料」を正しい配置へと整列させる効果が得られる。

 この手法により、結晶粒はより大きく、より整然と成長し、材料内部の欠陥が大幅に低減され、発電性能が改善した。光電変換効率は15.45%に達し、国際的な第三者認証による効率は15.04%を記録した。さらに、比較的狭いバンドギャップ条件下で、開放電圧が初めて600mVを超え、このタイプの光電変換素子の性能ボトルネック解決に新たな方向性を示した。

 材料成長メカニズムの観点からは、「イオン移動-欠陥-性能」の関係を体系的に整理。研究所側は、今回の知見が将来の実用化検討に資する可能性があるとしている。

(画像提供:人民網)

 
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