チリのバルパライソに停泊中の中国の科学調査船「探索1号」で5日、中国・チリ共同アタカマ海溝有人潜水調査航海の総括式典が行われた。今回の調査では、アタカマ海溝の生物多様性、化学合成生態系、プレート沈み込みメカニズムの探査などが完了した。新華社が伝えた。
今回の調査は、中国科学院深海科学・工学研究所とチリのコンセプシオン大学が共同で組織し、40日間以上にわたって実施された。期間中、「探索1号」に搭載された有人潜水艇「奮闘者号」は計36回の潜水調査を実施し、3500件を超える生物標本を採取。深淵分野における多角的な学際的研究を進めるための基盤を築いた。
中国側の首席科学者である杜夢然氏は取材に、「調査の成果の一つは、南半球で最も深い冷湧水生態系を観測したことだ。これは中国の科学者が提唱する『グローバル化学合成生命回廊』という仮説を裏付ける新たな証拠となった。また、同一の海溝内で少なくとも3種の異なるシンカイクサウオを発見し、この海域における魚類の生物多様性が浮き彫りになった」と述べた。
冷湧水生態系とは、海底から湧き出る化学物質をエネルギー源として化学合成を行い、暗黒の海底世界で発達する独特な生態系を指す。「グローバル化学合成生命回廊」は、世界中の海溝底部にこうしたシステムが広く発達していると考えるものだ。
調査では、チリの過去の巨大地震に関連する海底断層の破壊構造も発見された。これは、地震活動がいかにして深海地形を形成し、生物の生息環境に影響を与えるかを理解するための貴重な原位置観測データとなる。

(画像提供:人民網)