無人操縦の「UFO」のような銀色の飛行体が地面から浮上し、空中でホバリングと水平移動して、安定して着陸する。これは中国湖北省武漢市にある中国光谷低空経済産業パークの訓練場で目にした光景だ。中国新聞網が伝えた。
この「UFO」は「電鷹飛車」と名付けられた全ダクト式トン級電動垂直離着陸機(eVTOL)だ。
電鷹飛車の機体は流線型で丸みを帯びており、最大サイズは6メートル未満、標準的な駐車スペース4台分に収まる大きさだ。垂直離着陸が可能で、滑走路やヘリポートを必要としない。最大離陸重量は1.2トン、最大積載量は450キログラム、2時間の充電による航続距離は150キロメートルだ。
機内には計器盤やハンドルはなく、長さ1メートルのタッチ式電子スクリーンが従来の操縦席に代わり、動画視聴や音楽再生などの娯楽機能も充実している。4つ並ぶレザーシートは広く快適で、身長180センチの乗客でも、ゆったり座れるようになっている。
電鷹飛車の産みの親で、湖北省ドローン業界協会会長の蔡暁東氏によると、デザインは、映画「アバター」に登場する飛行体からインスピレーションを得たという。
当時、中国国内には参考となる事例がなく、ダクト設計や姿勢制御、動力配置といった重要工程はすべてゼロからの模索だった。ほぼすべての部品を開発し、7年にわたって10回近いバージョンアップを経て、2025年7月、電鷹飛車はついに初飛行に成功した。
最も注目される技術的ブレイクスルーは、機体を囲む8枚の「ステルスウイング」だ。開発チームはミリメートル単位の隙間制御技術を克服し、通常の航空機では露出しているローターを完全にダクト内に収めた。これにより、障害物との接触を効果的に防ぎ、都市のビル群や狭い路地でも安全に近接飛行ができるほか、騒音の低減にも効果を発揮している。
蔡氏は、「これまでに140回以上の試験飛行を実施した。例えば高層ビルの火災救助を想定した試験では、建物の窓やベランダに接触するほど接近でき、機体をベランダに接触・固定させることもできる。これにより、救助隊員が窓などを開けて、救助活動を行うことができる」と語った。
一般市民が「UFO」で移動できるようになるまでには、あとどのくらい必要なのだろうか。蔡氏は、「電鷹飛車の初期用途は、物流輸送や航空救助であり、低空ネットワークの整備が進めば、5年以内に空中移動の実現が期待できる。乗客は配車アプリのようにスマートフォンでワンタップするだけで『空飛ぶタクシー』を呼び、交通渋滞を避けて、20キロの距離を約15分で移動できるようになる」と強調した。
現在、電鷹飛車には注文の意向を示す問い合わせが多数寄せられている。顧客の多くは東南アジアや中東地域からで、主に島嶼部への物資輸送や低空観光などの用途が想定されている。
蔡氏は、「湖北省は自動車や船舶産業の基盤がしっかりしているほか、大学も集中しており、十分な人材が蓄積されている。こうした条件が低空経済の発展の基礎を築いており、今後も強い競争力を形成していくだろう」と見解を述べた。

(画像提供:人民網)