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中国、宇宙でデータ処理する「宇宙コンピューティング」推進 基盤整備進む

2026年04月14日

 宇宙空間に計算機能を配置する「宇宙コンピューティング」について、中国で関連産業の基盤整備が進んでいる。北京経済技術開発区で開かれた「2026宇宙コンピューティング産業大会」では、業界の連携組織として「宇宙コンピューティング専門委員会」が発足したほか、北京宇宙コンピューティングイノベーションセンターの設立準備も始まった。センターでは、宇宙ベースAIチップ、宇宙用エネルギー、放熱技術などを主な対象分野とするという。新華社が伝えた。

 宇宙コンピューティングは、軌道上に計算システム、データ保存システム、高速データ通信設備を配置し、計算、保存、伝送を一体化した宇宙情報インフラを構築する考え方を指す。従来の「衛星がデータを取得し、地上で処理する」方式に対し、データの取得、処理、保存、出力の一部を宇宙空間で行うことを目指す。

 工業・情報化部(省)情報通信発展司の趙策副司長は、「宇宙コンピューティングには、軌道上でのリアルタイム処理、低コストのエネルギー、広域カバーといった利点がある」と述べた。そのうえで、宇宙エネルギー開発能力の強化、全域カバーと抗干渉能力の向上、ネットワーク応用領域の拡大につながるとして、戦略的な重要性と産業面での発展可能性を指摘した。

 エネルギー面から見ると、超大型データセンター1カ所の年間電力消費量は、小規模都市の住民全体の年間電力消費量に匹敵する。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2030年までに世界のデータセンターの電力消費量は日本全体の年間電力消費量に近づく見通しだ。中国情報通信研究院クラウドコンピューティング・ビッグデータ研究所の李潔副所長は、宇宙コンピューティングについて、宇宙空間の太陽エネルギーや極低温環境を活用することで、地上のエネルギー需給を補完する可能性があると説明している。

 通信やカバー範囲の面では、衛星ネットワークの構築が進めば、地上の光ファイバー網や基地局整備の状況に左右されにくい仕組みになるとみられている。自動運転や低空飛行体の運用支援などへの応用も想定されている。

 一方で、実用化にはなお課題が多い。業界関係者は、衛星間通信、衛星搭載チップ、エネルギー供給、熱管理といった技術面に加え、具体的な用途やビジネスモデルの構築も課題に挙げられている。

 打ち上げ能力も制約の一つだ。大規模な衛星コンステレーション展開に向けて、発射サービス能力が重要なボトルネックになっているとの声もある。藍箭航天の張暁東氏によると、2025年12月3日に再使用型キャリアロケット「朱雀3号」は初飛行を完了し、軌道投入に成功したが、第1段の回収は完全には成功しなかった。張氏は、再使用型ロケットの実用化にはなお時間がかかるとの見方を示している。

 また、張氏は、今後しばらくは中国で年間平均約500機の中大型ロケット打ち上げが必要になるとの見通しを示した。朱雀3号の2回目の機体では、2026年上半期に再び回収試験を行う予定としている。

 応用面では、3月中旬に国星宇航と上海交通大学の共同実験室が、自然言語による指示を通じて宇宙コンピューティングを遠隔利用し、地上の人型ロボットを制御する技術試験を行った。国星宇航の劉京晶最高執行責任者(COO)は、こうした技術が、緊急対応、遠洋作業、無人鉱山などでのロボット運用に活用できる可能性があるとみている。

 中国政府も、関連技術と産業育成を進める方針を示している。工業・情報化部の趙策氏は、今後、技術動向や産業動向の分析を進めるとともに、耐放射線チップや衛星間レーザー通信などの研究開発、リモートセンシングのリアルタイム処理、通信強化、時空情報分野での応用開拓を進める考えを示した。

(画像提供:人民網)

 
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