2026年05月01日-05月08日
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中国の翻訳市場、AI活用で再編 2025年の市場規模は701億元に

2026年05月01日

 ネット小説を日々大量に更新しながら複数言語に展開する動きや、AIによる口元の動きの同期技術を使った中国ショートドラマの海外配信、国産ゲームにおける用語管理の自動化など、中国の翻訳現場は大きく変わってきている。新華社が伝えた。

 4月25~26日に湖北省武漢市で開かれた2026年中国翻訳協会年次大会で、「2026中国翻訳業界発展報告」が発表された。2025年の中国翻訳業界の総生産額は701億2000万元(1元=約23円)で、翻訳関連の従事者は686万7000人だった。技術の進展を背景に、同業界は「規模拡大」から「品質向上と業務モデルの革新」へと軸足を移しつつある。

 報告によると、2025年時点で、AI翻訳を主要業務とする企業は2183社で、前年から638社増えた。北京、上海、深圳などでは、言語サービスに関する支援策が相次いで打ち出され、大規模言語モデルの開発、越境EC向けの言語支援、多言語コーパスの整備などに対して、資金面やプロジェクト面での後押しが行われている。

 需要側の変化も大きい。これまで翻訳サービスの主要顧客は政府機関や公的機関だったが、現在は民間企業の存在感が高まっている。2025年には、翻訳企業の売上高に占める民間企業顧客の比率が30.7%に達した。中国企業の海外展開、越境EC、情報通信技術分野の成長が、翻訳市場を動かす新たな要因になっている。

 技術面では、人とAIが協働する形が業界内で広がっている。特に「大規模言語モデルによる下訳+人による修正」は、主流の作業モデルになりつつある。2025年には、「完全な機械翻訳」と「機械翻訳+訳文の修正」によって納品されたプロジェクトの割合が合わせて66%を超えた。これらの分野の売上高の伸びは、従来型の人手翻訳を大きく上回った。

 一方で、AI翻訳に対する受け止め方には、発注側と供給側で差もある。翻訳サービスの発注側は、供給側よりもAIによる全面的な代替への期待が高い。こうした認識の違いは今後、価格設定や品質基準をめぐる新たな調整につながる可能性がある。ただし、深い内容理解や異文化間の伝達といった翻訳者の創造的な役割は、なお人間の強みとして認識されている。

 人材面でも、業界が求める能力は変化している。翻訳企業が必要としているのは、単に言語を扱う人材ではなく、中上級レベルの専門人材だ。AIによって初級業務が代替される傾向が強まる中、専門知識を備え、文脈に応じて訳文を調整できる人材の需要が高まっている。

 教育機関側も対応を進めている。2025年には、翻訳技術やAI関連科目を設ける大学などの割合が77.6%に上昇した。翻訳修士課程では、越境EC、文化財・博物館分野、外交・外事など、より細分化された専門領域が新たな人気分野になっている。翻訳博士専門学位の育成方針も、幅広い能力のバランスを重視する形から、実務型、分野横断型の人材育成を重視する方向へ変わりつつある。

 今後5年の成長分野としては、情報通信技術、AI翻訳向けの学習・訓練、越境EC、会議・展示会関連サービスなどが、発注側と供給側の双方から注目されている。ローカライズサービス、機械翻訳後の訳文修正、翻訳ツール開発などの技術系業務は、現時点で最大の収益源ではないものの、成長の速い分野となっている。

(画像提供:人民網)

 
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