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中国南部で進むトキ保護 浙江省徳清の個体数が1000羽に

2026年05月13日

 中国浙江省徳清県の下渚湖トキ繁殖研究基地で6日、人工孵化されたトキの卵が、約23時間に及ぶ殻割りの末に孵化した。これにより、同基地で人工孵化と自然孵化を合わせたトキの個体数は1000羽に達した。中国新聞網が伝えた。

 徳清県でトキの保護・繁殖事業に携わる専門家の邱国強氏は、「中国南部で進められてきたトキ保護事業にとって、一つの節目となる」と述べた。

 トキは世界的に個体数が少ない絶滅危惧種で、1970年代には朝鮮半島やロシアで野生個体が相次いで姿を消した。1981年には、中国で確認された野生個体はわずか7羽となり、保護活動が本格的に始まった。その後、約45年にわたる継続的な取り組みによって、個体数は徐々に回復してきた。

 徳清県でのトキ保護は2008年、陝西省から10羽のトキを移入したことをきっかけに始まった。気候条件や生息環境が異なる中国南部で定着を図る試みで、飼育、繁殖、野生復帰に関する技術的課題を段階的に克服し、現在では南部地域としては安定したトキ個体群の形成に至っている。

 現在は繁殖期にあたり、徳清の湿地で生まれたトキは、浙江省内にとどまらず湖南省や江蘇省などにも分布を広げている。こうした動きは、長江流域全体でのトキ個体群再建に向けた基盤づくりにつながるとされている。

 下渚湖湿地では、これまでに野生の希少鳥類135種が記録されており、そのうち10種以上が中国の重点保護対象に指定されている。シラサギ類の個体数は1万羽を超え、湿地全体が鳥類の重要な生息地となっている。

 近年は、トキを象徴的存在とした関連商品やエコツーリズムなど、自然観察を軸にした観光が広がりつつある。今年の大型連休には、トキを間近で観察しようと多くの家族連れが下渚湖を訪れた。湖北省武漢市から訪れた野鳥撮影愛好家の劉秀氏は、毎年のように徳清を訪れ、撮影した写真を学校で紹介するなど、野鳥保護の啓発活動を続けているという。

 地元によると、下渚湖周辺6村では、農民1人当たりの年間平均収入が約1万8000元(1元=約23円)増加し、エコツーリズムによる年間収入は約14億7000万元に達している。

 また、同繁殖研究基地では浙江大学と共同で、SSR(単純反復配列)やMHC(主要組織適合性複合体)を用いた遺伝子マーカーの研究を進めている。これにより、トキ個体群の血統管理データベースを構築し、現在の雛の孵化後生存率は97.11%となっている。

(画像提供:人民網)

 
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