中国科学院過程工程研究所は22日、同研究所と深圳大学の共同チームが、太陽光を利用して海水を蒸発させる新型の水蒸気発生材料を開発したと発表した。高分子を使ってナノ粒子を3次元構造に組み上げ、海水の蒸発速度を高める材料で、屋外試験では海水淡水化と農業用灌漑への応用も検証した。関連成果は国際学術誌「Advanced Materials」に掲載された。科技日報が伝えた。
太陽光を利用した水蒸気発生技術は、水を得るための環境負荷の小さい手法として注目されている。一方、高性能のナノ光熱粉体を大型の装置にする際には、ナノ粒子が凝集しやすく、3次元構造の強度が不足しやすい。光照射によって材料が劣化することも課題となっている。
共同チームは、この課題に対応するため、高分子の「ロック機構」を提案した。まず「ボタン」に相当する多層中空構造のナノ球殻を作製し、高分子と溶媒の相溶性原理に基づき、ポリエステル分子鎖を縫い糸のように球殻の微細孔へ通した。これにより、粒子同士をつなぎ合わせ、「ナノの森林」のような3次元ネットワークを形成した。高分子の糸でナノ球をつなぐことで、凝集を防ぎながら、水を効率よく輸送する経路を作る仕組みだ。
実験データによると、この構造の太陽光吸収率は90.2%で、同じ量の水を蒸発させるのに必要なエネルギーを45.7%減らした。海水を用いた30日間の加速劣化試験でもナノ粒子は脱落せず、材料は光照射下でフリーラジカルを生成しなかった。有機基材の劣化を抑えることにつながるという。
チームは中国科学院過程工程研究所廊坊工程試験基地で、0.75平方メートルの屋外試験装置を完成させた。自然光下で同装置は1日当たり20.16リットルの淡水を生産し、約10人分の基本的な飲料水需要に対応できる。水質は世界保健機関(WHO)の飲料水基準を満たした。生産した淡水で1年間にわたり5平方メートルの農地を灌漑し、ホウレンソウ、トウモロコシ、小白菜などの作物が生育サイクルを完了した。これにより、農業用灌漑への利用可能性が検証された。