中国で今年に入り、周辺環境を認識する機能を備えた視覚障害者向けAI(人工知能)スマートグラスの新製品が相次いで登場している。物体や文字の認識、障害物の回避など、視覚障害者の移動や日常生活を支援する機能の開発が進められている。経済参考報が伝えた。
楽奇(Rokid)は6月26日、「2026エコシステム・開発者大会」で、AIスマートグラス向けOS(基本ソフト)「YodaOS」と、視覚障害者や聴覚障害者向けの支援機能を発表した。AIスマートグラスには視覚支援モードが搭載されており、周辺環境や物体の認識、文字の読み上げ、AIによるQ&Aなどの機能を備える。書籍や新聞、医薬品の説明書などの内容を読み上げることもできる。
天視智能は7月下旬、視覚支援AIスマートグラスをアップデートした。新製品には、同社が独自開発したインターネット接続なしで利用できるマルチモーダル大規模モデルを搭載。操作指示と対話を使い分ける2種類の音声モードを備え、大規模言語モデル「豆包」の音声機能にも対応した。ユーザーはメガネ本体のボタンと音声だけで操作でき、スマートフォンを併用する必要がない。従来のクラウド型デバイスとは異なり、インターネットに接続できない地下道や人通りの少ない道路でも、障害物の回避や周辺環境の認識ができる。
瞳行科技も視覚障害者向けAIスマートグラス「瞳者」の改良を続けている。昨年末には、「通義千問(Qwen)」の視覚言語モデル「Qwen-VL」を採用した初代製品を発売した。第2世代モデルでは、認識できる障害物の種類を増やしたほか、応答遅延を300ミリ秒から60~70ミリ秒に短縮した。歩行者、車両、工事区域、信号機、横断歩道などを認識できるほか、道路標識、番地、バス停標識などの文字情報を読み上げることもできる。
天視智能の関係者は、「視覚障害者向けスマートグラスは、機器の選定や適合調整から使用訓練まで、各段階で専門的な支援が必要だ」と指摘した。また、利用者への周知にかかるコストも課題で、視覚障害者が新たなスマート補助具を利用するまでには一定の時間が必要だという。そのため同社は、製品を地方の調達対象リストに入れるだけでなく、対象となる利用者に製品を知ってもらい、実際の体験や利用につなげる必要があるとしている。

(画像提供:人民網)