宇宙開発関連のインド民間企業数、350社を超え世界第5位に 報告書公表

2021年7月8日 西川 裕治(元 JST インドリエゾンオフィサー)

2021年5月付のインド Space Tech Analytics(STA)の報告書「Space Tech Industry 2021 / Q2 Landscape Overview」において、10,000の宇宙技術関連企業、5,000の投資家、150の研究開発(R&D)ハブおよび関連団体に加えて130の政府機関を含む巨大なデータベース構築が発表された。

同報告書では、宇宙技術関連の経済規模が2025年までに5,000億ドル(約55兆円)に達すると予測している。また、全世界の宇宙関連企業10,000社余りの企業のうち、5,500社以上が米国にあり、英国、カナダ、ドイツがそれに続いている。同レポートには、インド企業368社がリストされており、中国の288社、フランス269社、スペイン206社、日本184社、イスラエル179社、オーストラリア177社などの国がそれに続き、ロシアは56社となっている。

これらの企業の業務内容としては、2,820社がナビゲーション&マッピング事業を行っており、クラウド・ソリューション(2,406社)、製造業(1,048社)がそれに続く。また、718社が宇宙通信、リモートセンシング(211社)、航空画像(152社)、宇宙船開発(80社)、宇宙旅行・探査(58社)、宇宙医学(48社)などの事業を行っているとしている。

同報告書は、宇宙技術関連の経済規模は、2030年までには10兆ドルに達すると予測。2021年の宇宙技術への初期段階の投資総額は680億ドル。米国では、3,086社に合計280億ドルが投資され、これは中国の投資額の6倍となっている。中国は宇宙関連技術及び投資において2番目の大国(中国は122社に48億ドルを投資)である。中国に続くのは英国で、その資金は主に公的資金源とIPOで調達されている。インドは、約110社に対して総額約20億ドルを投資しており、全体で4位となっている。

インドに関しては、米国、中国、日本、ロシアなど最先端の宇宙開発プログラムを持つ国の一つとして、次のように紹介している。

インドの宇宙計画は、過去50年間で大幅に成長し進化してきた。これまで直接的な開発上の利益をもたらす宇宙資産を開発していたインドは、以前ほど明確な開発目的を持たない宇宙探査やその他の注目を集めるミッションに焦点を移してきた。例えば、インドの火星と月の探索ミッションがそれだ。インドの次の主要なステップは、2022年までに着手される最初の有人宇宙ミッションGaganyaanである。

インドが既に持つ強力な宇宙プログラムは、過去10年間で部分的には国家安全保障の意味も持ち、インドの技術力の増大によって推進されている。インドのこの変化の理由の重要な部分は、特にパキスタンと中国に関してインドが直面している安全保障上の脅威の拡大である。

この10年間、インド宇宙研究機関(ISRO)は、再利用可能なロケット発射技術を開発し、次の10年で再利用可能なロケットの製造を開始する意向を公表した。また、2021年の新年のメッセージで、ISROのK.シバン(K. Sivan)会長は「多くの民間企業の参入により、宇宙部門は創造的破壊状態(disruption)に直面している」と強調した。

ISROの18のセンターは、地上局、有人宇宙飛行、衛星プラットフォームなどに関連する機能のスケールアップを目指している。特に、Vikram Sarabhai Space Centerは、重量物運搬能力を持つロケット開発での、部分的および完全な再利用性の達成、およびスクラムジェットエンジン(超音速エンジンの一種である超音速燃焼ラムジェット)の研究を継続するよう指示されている。

以上が報告書の概要だ。その一方で、ISROは最近の新たな動きとして、「2021年2月17日、宇宙庁(DOS)傘下のISRO会長のシバン博士は、オーストラリア宇宙庁の新しい責任者エンリコパレルモ氏とバーチャルで会談し、宇宙協力のための既存の「市民宇宙科学、技術、教育における協力」に関する2012年のインド・オーストラリア政府間覚書(MoU)の改正に署名した。この改正により、インド宇宙庁とオーストラリア宇宙庁が執行組織となり、他の関連団体が特定の協力活動の実施の取り決めを締結するための機会が提供される。両首脳はまた、インドのGAGANYAANプログラムを支援するために、地球観測、衛星航法、宇宙状況の認識、オーストラリアでの可搬型ターミナルの設立における進行中の協力活動の状況をレビューした」と発表した。

インドの宇宙開発に関しては、本サイト4月2日付コラム「新インド国家予算案(2021年度)から読む科学技術開発への強い意欲」でも触れたが、インドの宇宙開発は、2021年度国家予算の大きな柱の一つになっている。今回のSTAの報告書でもGAGANYAAN が注目されており、今後ともインドの宇宙開発からは目が離せない。