インド生徒らの科学技術アイデアを表彰 JSTの招へい事業とも連動

2021年9月17日 西川 裕治(元 JST インドリエゾンオフィサー)

トップ60を表彰

インドの初等中等学校の生徒から科学技術のアイデアを募るINSPIRE Awards-MANAK (Million Minds Augmenting National Aspiration and Knowledge)プログラムの第8回「全国レベル展示・選考会」(National Level Exhibition and Project Competition: NLEPC)が9月4~8日の5日間、オンラインで開催された。

オンラインで開催された表彰式(2021年9月8日)

今回のNLEPCは、2019年度の最終選考会だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延の影響でその開催は大幅に延期されていた。

2019年度は合計39万2,486件のアイデア・イノベーションの応募があり、厳正な審査を通じて最終的にトップ60のイノベーション(応募作品)が選ばれた。最終日の9月8日の表彰式で、インド政府のジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相から賞が授与された。受賞者(60名)リストは下記に示す。

100万の若者の心に火を

表彰式でジテンドラ・シン科学技術相は、次のように述べた。
「INSPIREは科学的な気質の醸成に役立っており、毎年、競い合う意欲的な生徒数が増加している。このプログラムが開始されて以来、50万校以上の学校が参加しており、インドの若い科学者育成機運が盛り上がってきている。今回は60名を表彰したが、インドには優れた若者が60人しかいないのではなく、INSPIRE Awards-MANAKの賞の数が足りないのだ。できれば応募したすべての人に賞を差し上げたい」

インド科学技術庁(DST)のレヌー・スワルプ(Renu Swarup)長官は、次のように述べた。
「インドには若いイノベーターの創造性を育む強固なエコシステムが構築されている。また、彼らが本来持っている可能性を発揮するための大きなチャンスがある。このプログラムの目的は、100万人の若者の心に火をつけ、国内での大きなイノベーション主導の科学技術開発の一部にすることである。INSPIRE Awards-MANAKは、国中の賢明なアイデアを持つ生徒をつなぎ、イノベーションの心に火をつけ、コミュニケーションを促進し、彼らは自身のアイデアを前面に押し出し、先生やメンターと議論し、一般社会者課題解決に貢献している」

コロナ禍でなければこんな盛大な表彰式だったかもしれない
(INSPIRE Awards-MANAKの表彰式の模様、2015年)

INSPIRE(Innovation in Science Pursuit for Inspired Research)のスキームは、インドの首相が立ち上げた"Start-up India"政策に沿ったもので、インド科学技術庁(DST)が若手理系人材の発掘・育成のため、毎年実施している主力プログラムだ。その中のINSPIRE Awards-MANAK(Million Minds Augmenting National Aspirations and Knowledge)は、全国の初等中等学校の6~10年生(10~15歳)が対象。科学の社会への応用に根ざした独創的なアイデア・イノベーションを募り、生徒たちの創造性と革新的な思考の文化を育むことを目的としている。

「さくらサイエンス」で招へい

一方、科学技術振興機構(JST)では2015年度以降、INSPIRE Awards-MANAKの受賞者60名を含む合計約150名の優秀なインドの生徒らを、毎年「さくらサイエンス・ハイスクールプログラム」(SSHP)で日本に招へいし、インドの生徒らは日本のトップ大学、高校や研究所などを訪問し交流している。その結果、訪日したインドの高校生のうち日本の大学に進学する例も出るなど、SSHPの成果の一つになっている。

「さくらサイエンス・ハイスクールプログラム」で訪日前、インドで記念写真に収まる一行。
左から3人目が在インド日本大使館・菊田豊公使(当時)(2016年)

インドDSTからは、SSHPへのお礼として、「日本の高校生をインドに招へいするプログラムを検討中である」との発言も出ており、SSHPは、日印の相互交流の強化・拡大へとつながっている。