研究チームは、アジアジャコウネコの糞から採取されたコーヒー豆は、従来の方法で採取された豆よりも総脂肪含有量がかなり高いことを発見した。(2026年3月10日公開)

コピ・ルアクという名で知られているシベットコーヒーは、独特の香り、味、そして栄養価を持つことが知られており、世界でも高級で高価なコーヒーである。
1キログラムあたり1000米ドルもの価格で取引されることもあるが、このコーヒー豆は、アジアジャコウネコ (Paradoxurus hermaphroditus) の糞から採取される。アジアジャコウネコは熟したコーヒーの実を食べ、内部の豆が消化器系を通過する間に果肉が消化される。
この種のコーヒーは100年以上前から収穫され、販売されてきたが、この珍しい収穫方法がコーヒーの化学組成に変化をもたらすかどうかについては、今でも議論の的となっている。
Scientific Reports誌に発表された新たな研究が、この疑問に答えてくれるかもしれない。インドのケララ州の研究チームによると、アジアジャコウネコの糞から採取されたコーヒー豆には、従来の方法で採取された豆よりも脂肪分や他の風味を豊かにしてくれる重要な組成物が多く含まれる可能性があるかもしれない。
研究チームは論文の中で「ジャコウネコは熟したコーヒーの実を食べる。実は消化管を通過するときに、消化、吸収、及び自然な発酵が進む。果肉は消化されるが、豆は糞を通して排泄される」と述べている。
この研究では、ジャコウネコ由来のコーヒー豆と、インド有数のコーヒー生産地域であるコダグで手摘み採取されたロブスタコーヒー豆の物理的・化学的特性を調べた。ロブスタコーヒー豆については、従来型農園と有機栽培を採用している農園のものを使った。
インド・ケララ中央大学の研究チームは、1月にロブスタコーヒーを栽培する5つの農園で、野生のジャコウネコから68の糞便サンプルを採取した。また、比較のために各農園から熟したコーヒーの実も採取した。
「我々は、西ガーツ山脈の生物多様性ホットスポットを研究対象地域としました。そこでは、ジャコウネコは自然生態系の一部であり、野生の果物を食べます」と研究チームは述べている。「この地域のジャコウネコには3つの異なる種がありますが、我々の観察と過去の研究に基づくと、夜行性の哺乳類であるアジアジャコウネコが最も多く見られるます」
研究チームを率いたのは動物学部のパラティ・アレシュ・シヌ (Palatty Allesh Sinu) 教授である。チームは、ジャコウネコから採取した豆は、手摘みで収穫された豆よりも総脂肪含有量が有意に高いことを発見した。また、ジャコウネコから採取した豆は、カプリル酸メチルエステルとカプリン酸メチルエステルという2種類の脂肪酸メチルエステル (FAME) の含有量も有意に高かった。
研究チームは「シベットコーヒーは化学的性質が異なりますが、それはジャコウネコの消化器系における豆の発酵によるものであり、その違いがコーヒーの最終的な風味に影響を与えているかもしれません」と語る。
高い脂肪含有量はコーヒーの香りと味に影響を与え、2種類のFAMEの含有量の高さは乳製品のような風味を作っていると考えられる。
焙煎工程は豆の化学組成にさらに影響を与えるため、本研究の分析で使われたのは焙煎前の豆である。また、シベットココーヒーのほとんどはアラビカ豆であるが、今回はロブスタ豆を分析したことも述べられている。