2021年04月
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インド、グリーンエネルギーメガパークの基礎を構築

シンガポールの広さと同規模となる、インドのグリーンエネルギーメガパークが完成すると、30ギガワットに及ぶ驚異的な量の再生可能エネルギーを生産。

AsianScientistインドのナレンドラ・モディ首相は、2020年12月15日、近い将来に世界最大の再生可能エネルギーパークとなる場所に礎石を敷いた。西グジャラート州クッチ地方に建設されるこの事業は、シンガポールと同等の広さとなる18万エーカーに及ぶ。

産業革命以来、石炭や石油などの化石燃料は、鉄道から工場、家庭用照明まで、あらゆるものに動力を供給してきた。しかし、何世紀にもわたって化石燃料を燃やす慣習は、地球温暖化という代価を伴う。これらの燃料から放出された温室効果ガスは大気中に熱を閉じ込め、2020年は記録上最も暑い年の一つとなる可能性が高い。

異常気象や海面上昇などの地球温暖化の影響を回避するために、インドのような国では再生可能エネルギーへの転換が進んでいる。化石燃料とは異なり、太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーは、エネルギーを補充することができ、大気中に温室効果ガスを放出しない。

モディ首相によると、広大な敷地には太陽光パネル、太陽エネルギー貯蔵装置、風車が設置され、現在世界最大の規模を誇るインドのバドラ・ソーラーパークの2.245ギガワットの容量を大幅に上回る30ギガワットの発電量が見込まれている。

広大なエネルギーパークでは、風力・太陽エネルギー発電・蓄電のハイブリッドゾーンや、ウィンドパーク専用ゾーンが設けられる。この新しい「メガパーク」が完成すれば、インドの二酸化炭素排出量を年間最大5000万トン削減できると期待されている。

この開発は、2022年までに 再生可能エネルギー容量を175ギガワットとする目標に向けたインドの取り組みの一環であり、その内訳は、太陽光発電100ギガワット、風力発電60ギガワット、バイオエネルギー10ギガワット、小規模水力発電ダム5ギガワットである。

グリーンエネルギーメガパークは、この目標に向けた大きな一歩であり、それは目標の175ギガワットの約20%の達成に相当する。今後、インドは2030年までに450ギガワットというさらに野心的な目標を達成することを目指している。

明らかに環境上の利点があると見受けられるこのような事業でありながらも、メガパークが地域の生物多様性に及ぼし得る長期的な影響について懸念する声が草の根の組織から上がっている。メガパークの建設に割り当てられた広大な土地は荒れ地であるとされながらも、そこには数百羽の鳥たちが生息する独特の砂漠の生態系があり、新しい送電線や構造物によりその生存が危ぶまれる。

このメガパークは、クッチ地区のいくつかの開発事業の大きな動きの一環として、80万人の地域住民のために1日1億トンの水を処理できる海水淡水化プラントの隣に建設される。

「21世紀には、エネルギーと水の安全保障が不可欠である」とモディ首相はフランス通信社に語った。「再生可能エネルギーパークと今日クッチで発足した海水淡水化プラントの2つの主要事業は、エネルギーと水の確保を実現するためのステップである。」

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