2021年06月
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地下水の揚水が原因か インド・デリー近郊の地震で発表

インドの研究者グループは5月12日 、首都デリー近郊で増加する地震活動と地下水の揚水が相関すると発表した。

インド国立工科大学 (NIT)のバスカー・クンドゥ(Bhaskar Kundu)博士が率いるグループが、シミュレーションに基づき、地下水の揚水が近年デリー近郊で増加している地震の引き金になっている可能性がある、と示した。地震の発生と、農業用灌漑や都市活動による帯水層の地下水量の季節的な変動が相関を示した。博士らのシミュレーションは、2003年1月から2015年12月までの米航空宇宙局(NASA)のグローバル重力場データ(GRACE)および土地データ(GLDAS)、GPS、現地の地震活動、降雨量、および井戸水位データを使用。デリー近郊の地下水位が年間1.6 センチメートル変化していること、地震の多くが深度25キロメートル以下の地盤で発生していることも確認された。

論文の共著者であるインド国立地球物理学研究センター(NGRI)のヴィニート・ガハロート(Vineet Gahalaut)博士は「流体の流れと岩盤の機械的な変化をカップリングしたこの手法は、隠れた岩盤の断層を発見し、人的活動による地震の発生を予測する方法として期待できます 」と語る。

クンドゥ博士は、2015年にネパールで発生したマグニチュード7.8の地震と、インド・ガンジス盆地での半世紀にわたる地下水の揚水の関係も特定している。世界的に、地下水の揚水や石油・ガス採掘などの人的活動と地震の関係が注視されており、クンドゥ博士らの研究は、地殻変動に由来しないわずかな負荷の変化が地震を引き起こすことを示す新たな事例となる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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