2021年07月
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「農業の自立」アプリで農家に適切な情報提供 インド政府

インド政府主席科学顧問室(Office of Principal Scientific Advisor to GoI)は6月29日、「Atmanirbhar Krishi(農業の自立)」アプリを発表した。政府の持つ様々な農業関連の情報は、農家にとって非常に重要なものだが、プラットフォームが異なるなど、農家に理解しやすい方法で提供されていない。そこで、農家に貢献する国家デジタル・プラットフォームである 「KisanMitr(農家の友人)」イニシアティブでは、インド気象局(IMD)、インド宇宙研究機関(ISRO)、国立水情報センター(NWIC)など、さまざまな政府機関が提供するデータを統合し、Atmanirbhar Krishiアプリで農家に提供することで、このギャップを埋めることを目指している。

「KisanMitr」イニシアティブは、インド政府主席科学顧問室の取り組みで、政府のさまざまな部門からのデータソースに基づく情報を提供することで、農家の自立を促進することを目的としている。 インド政府は、現地での製造や市場、サプライチェーンをサポートし、パンデミックで大きな被害を受けた農家を支援するために強固で有効なシステムの構築を進めてきた。今回発表されたAtmanirbhar Krishiアプリを使えば、IMD、ISRO、ICAR(Indian Council of Agricultural Research)、CGWA(Central Groundwater Authority)などの研究機関が作成したエビデンスに基づく情報が提供される。

その情報とは、例えば土壌の種類、土壌の健康状態、水分、天候、水位などのデータを集計・分析し、作物の選択、肥料の必要性、水の必要性などの情報で、農家ごとに個別に提供される。その結果、これらの情報は、農家が作付けパターンや小規模農家の機械化、藁焼きなどを決定する際に利用され、水や環境の持続可能性や資源の賢明な利用などが可能となる。また、このアプリは12言語に対応している。

同アプリのAndroid版とWindows版は、Google Play Storeで販売され、農家やスタートアップ企業などが無料で利用が可能となっている。また、国内の遠隔地における接続問題を考慮し、最小限の帯域で動作する。更に、農家からの入力情報を一切収集せず、農家の地理位置情報をベースに必要な関連データを提供し、他の場所のデータも、その地域のPINコードを入力することで収集できるように設計されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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