インド財務省と米マイクロソフト社は7月2日、戦略的パートナーシップを結び、アルン・ジャイトリー国立財務管理研究所(AJNIFM)に人工知能(AI)シナリオの構想や技術イノベーションの中心機関となる研究拠点(Center Of Excellence:CoE)を構築することを発表した。
CoEでは、中央省庁や州政府、公共部門の企業を対象とした、金融関連分野における新技術の使用事例を調査する。
この連携についてインド財務省は「インドの財政管理の未来を変革するために必要な、クラウド、AI、新興技術を探ることを目的としており、マイクロソフト社は、公的財務管理の未来を定義し、エコシステムの構築や、人材育成に必要な技術、ツール、リソースを提供する」と説明した。その一環で、各省庁、政府機関、金融機関に勤務する政府高官を対象とした能力開発プログラムを実施し、財務管理の新技術や意思決定のための機械学習モデルなどのトレーニングが行われる予定だ。
AJNIFMディレクターのプラベート・ランジャン・アチャリヤ(Prabhat Ranjan Acharya)氏はCoEの調査研究範囲について「支出管理、収益の漏出、マネーロンダリング防止、ダイレクトベネフィットトランスファー(DBT)制度など公共財政管理の主要な課題となる」とし、「この連携でAJNIFMは、金融分野の研究領域において、高水準の分析ツールを備えた国内唯一の機関となるだろう」と表明した。
マイクロソフト・インドの公共セクター担当エクゼクティブ・ディレクターのナブテズ・バル(Navtez Bal)氏は「今回の協業により、AJNIFMの豊富な経験と、マイクロソフトのクラウドやAIが融合し、新たなガバナンスやフィンテックによる変革の道が開かれる」と期待を寄せた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部