インド政府の科学技術庁(DST)の機関である科学技術研究委員会(SERB)と、同国ベンガルールにある米GEのジャック・F・ウェルチ・テクノロジーセンター(JFWTC)との共同事業が7月23日に立ち上がり、エネルギー、ヘルスケア、航空の各セクターにおける技術の研究開発のために、学術機関、研究所、産業界を支援することになった。
それに際して、DSTのアシュトーシュ・シャルマ(Ashutosh Sharma)長官は産業界との協力について、「2021年の科学技術イノベーション政策の草案で詳しく説明されているように、研究とイノベーションの分野における課題に取り組むことが我々の目的の重要な部分である」とインドの立場を説明した。
そのうえで、同長官は「我々はGEと提携して、国に影響を与える研究活動の成長を推進するエコシステムを構築したいと考えている。GEとの協力によりいくつかの最高のアイデアを引き出すと確信している。この基金は、国としてイノベーションの考え方を構築するために切望されていた推進力を与える一歩となる」と表明した。
オンライン会議に参加する関係者
また、SERBの事務局長であるサンディープ・バーマ(Sandeep Verma)教授はGEとのパートナーシップについて「科学技術の未来の問題に積極的に貢献できる。この協力はインドの主要な技術ロードマップの中で重要な役割を果たすことになるだろう。科学者が科学技術部門に積極的に貢献するための多くの扉が開かれると信じている」と語った。
他方、GE南アジアの最高技術責任者兼GEインドテクノロジーセンターのCEOであるアロック・ナンダ(Alok Nanda)氏は、「持続可能な世界のための解決策を見つけることに貢献する」とこのパートナーシップの意義を強調し、「SERBとのパートナーシップは、インドの研究とイノベーション能力を強化するという一貫した長期的な取り組みの一環である。アカデミアは大きな役割を果たし、最高のアイデアのいくつかが私たちの国で最も困難な課題をどのように解決できるか、その可能性を示すことが期待される」と述べた。
政府は近く、遠隔監視技術、ヘルスケア向けの人工知能(AI)と医療機器、高度な材料とコーティング、脱炭素化、再生可能エネルギー等について、学界と研究所からの研究提案を募集する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部