インド政府は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で基礎研究、診断、治療、およびワクチンに焦点を当てた課題に対処するために国内向けと国際的な研究プログラムを進めている。以下は、ジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相の書簡に基づく。インド科学技術省が7月20日に公表した。
国際的な研究開発について、オーストラリア、ブラジル、デンマーク、エジプト、イスラエル、日本、ポルトガル、韓国、ノルウェー、ロシア、セルビア、シンガポール、スロベニア、南アフリカ、英国、米国、ベトナム等の諸国の研究者とインドの科学コミュニティを結び付けるために科学技術の枠組みを整備している。
これらの二国間協力とは別に、インドは新興5カ国(BRICS)プログラムを通じて、ブラジル、ロシア、中国、南アフリカと協力を実施している。BRICS諸国とはCOVID-19の診断、ワクチン、治療、薬の転用、人工知能(AI)、病気の診断における複数のプラットフォームにわたる、高性能のコンピューティングの分野で協力している。
インドは、臨床研究開発の各段階において、さまざまなプラットフォームによりワクチン候補を持つ、世界でも数少ない国の1つである。Partnerships for Advancing Clinical Trials(PACT)イニシアチブの下で、DBT(バイオテクノロジー庁)は、周辺諸国における臨床試験能力を強化するために、外務省と緊密に協力し、14カ国(アフガニスタン、バーレーン、ブータン、ガンビア、ケニア、モルディブ、モーリシャス、ミャンマー、ネパール、オマーン、ソマリア、スリランカ、ベトナム、米国)の2400人以上が参加して2つのトレーニングシリーズを開topic_ni_05催した。インドは世界的なワクチン製造拠点として、諸外国にワクチンを提供している。外務省の最新のデータによると、これまでに、約1,986万回分のインド製COVID-19ワクチンがCOVAX(ワクチンを共同購入して途上国にも分配する国際的枠組み)を通じて世界中に供給されている。
インド政府は先住民に対する診断の開発についても多大な努力を払った。DBTが支援する先住民向けのワクチン製造施設であるAndhra Med Tech Zone(AMTZ)は、COVID-19のPCR検査キットの分野で自立を実現し、輸入への依存を減らした。
分子生物学による試薬の製造を促進するための「Make in India」イニシアチブであるBiomedical Resource Indigenization Consortium(NBRIC)には、200を超えるインドの製造業者が登録した。さらに、インドの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノムコンソーシアム(INSACOG)は、28の研究所からなる省庁間コンソーシアムであり、国内のSARS-CoV-2の新種の状況を確認するために発足した。
これらの努力の結果、パンデミックとの闘いにおいて、インドは先進国と肩を並べている。加えて、パンデミック時の学生・医療従事者・高齢者に対してメンタルヘルスにヨガと瞑想、COVID-19患者に対してヨガベースのリハビリテーションプログラムをそれぞれ導入しており、これらはインドのユニークな取り組みの一部となっている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部