インドのジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は同国のCSIR(科学産業研究委員会)の80周年イベントで、CSIRおよび全ての科学部門に、インドを世界的に競争力のある国にするために今後10年間に必要な科学技術イノベーションを探求するよう訓示した。
この中で、同相は、「インドは若者の人口ボーナスに恵まれており、適切な訓練と動機付けであらゆる挑戦に取り組むことができる。インドで最高を目指すのではなく、世界の最高を目指すべきである」と要望し、「CSIR、DBT(バイオテクノロジー庁)、DST(科学技術庁)が他の省庁と力を合わせることで、今後25年間で国全体を変革できる」と表明した。
同相はインド建国100周年の際には「強力な科学技術を備えた、防衛から経済に至るまでの世界的リーダーになるはずである。モディ首相のリーダーシップの下で、科学技術は過去7年間で予算を増やし、特別な推進力を得ており、科学の追求と努力は特別な重要性を割り当てられている」と指摘。そのうえで「科学イノベーションの究極の目標は、国民に『生活のしやすさ』をもたらすことであり、この目的を念頭に置いて、首相はインドの自立のために宇宙部門や原子力部門の技術的成長も目指している」と述べた。
CSIRの80周年を称えた同相は、インドの選挙で使用されるインド初の消えないインクの開発や、原子時計を使用したインド標準時の提供等のCSIRの成果を紹介した。
さらに同相は、CSIRのアロマミッション(カシミール地方の優れた種類のラベンダーの普及)に言及し、インド全土、特にカシミールの何千人もの農民の生活に変化をもたらしたことに触れ、CSIRが農民に機会を提供し、訓練を行い、寺院で捨てられたドライフラワーを活用して200人の女性の雇用が実現したことに触れ、この起業家精神と女性のエンパワーメントのサクセスストーリーは今後国内で繰り返される必要があると述べた。
同相は、CSIRの成果について「多くの国立研究所等の累積的な貢献に基づいている。CSIRの取り組みはユニークであり、ゲノミクスから地質学、材料技術から微生物技術、食品から燃料まで、さまざまな分野を専門としており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に際しても、COVID-19との戦いにおいても役立ついくつかの技術を開発した」と表明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部