2022年01月
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α-ケトグルタル酸代謝物、コロナの肺障害を緩和 インドで研究

インドのバイオテクノロジー地域センター(Regional Centre for Biotechnology)の生物学者らが、食事で摂取したα-ケトグルタル酸(AKG)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したハムスターの肺障害を緩和することを発見した。

同センターのプラセンジット・ガチャイ(Prasenjit Guchhait)氏らは、COVID-19に感染したハムスターがAKGを摂取することで、重症例の炎症による肺組織損傷が減速すること、また急性呼吸困難症候群(ARDS)の発症が遅延することを発表した。ARDSは、COVID-19重症患者に生じる病態である。

研究チームは、AKGがプロリルヒドロキシラーゼ2と呼ばれる酵素の活性を高めることを発見した。この活性化された酵素は、血小板凝集を誘発する酵素pAKt1を阻害する。凝集した血小板は、免疫系を過剰に作動させることが知られている。感染したハムスターが飲料水に溶解したAKGを摂取することで、肺においてこのpAKt1が引き起こす病理学的プロセスが阻害されることを発見した。

食餌性AKGにはCOVID-19が引き起こす炎症による肺の症状を改善させる効果があることが示唆された。

この研究は、科学誌 nature India で2021年11月30日に紹介された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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