2022年01月
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フェノール除去、2つの方法の組み合わせで優れた効果 インド・サウジの科学者ら解明

インドとサウジアラビアの科学者らは、2つの一般的な化学処理方法を組み合わせることで、1つの方法だけを採用するよりも優れた有機汚染物質の除去を可能にした。

AsianScientist - 水質に関する2021年国連報告書によると、アジアのほぼすべての主な河川は汚染されている。フェノール類として知られている有機汚染物質のあるグループは、生分解性が高くなく、時間の経過とともに土壌や地下水に蓄積するため、特に懸念の対象となっている。しかし、Journal of Industrial and Engineering Chemistry 誌に発表された新しいフェノール除去方法のおかげで、それはすぐに変わるかもしれない。

今までは、化学処理方法が水からフェノールを除去するために使用されていた。フェントン酸化法では、過酸化水素 (H2O2) と第一鉄 (Fe2 +) イオンの反応を利用して、フェノールを二酸化炭素と水に分解することのできる高酸化性ヒドロキシルイオン (.OH) を生成する。 ただし、この方法は時間がかかり、大量のH2O2を必要とする。

さらに、フェントン酸化法は、光に曝露するとフェノール分解性の .OHイオンを生成する半導体光触媒法と比較して触媒活性が低くなる。しかし、その優れた触媒活性にもかかわらず、半導体光触媒法も完璧な解決策ではない。光に依存するため、この方法は光源の強度の影響を受ける。

だが、インドのショウリーニ大学とサウジアラビアのキング・アブドゥルアズィーズ大学の科学者らは、フェントン反応と光触媒を組み合わせて、それぞれの限界を補いつつ両反応の最高部分を抽出するという完璧な廃水処理方法戦略を見つけたようである。

チームは、Ag3PO4/CdS/Fe-g-C3N4 (AP/CdS/FeCN) 光触媒とH2O2 を組み合わせて、光フェントンシステムと呼ばれるものを開発した。

「私たちは2段励起エネルギー獲得機構モデルを採用しました。これは、Ag3PO4光触媒の光吸収能力、光安定性、および光生成電子正孔対の分離を強化する効果的な方法として注目されています」

研究責任著者であるショウリーニ大学のパーディープ・シン(Pardeep Singh) 教授はこう説明する。

組み合わせてできた新しいシステムは、光触媒を使用して自然の光合成のプロセスを模倣し、十分な光を得て、フェノールを分解するのに必要な酸化反応を行う。

シン教授と彼のチームがシステムを試験したとき、いずれかの方法だけを採用した場合よりも、高いフェノール分解率を示したことが分かった。チームは反応を結合すると、一層多くのFe2 + イオンと.OHラジカルが生成され、フェノールの分解速度が向上すると考えている。

さらに、光フェントンシステムは、光安定性と再利用性が高く、5回連続使用した後も触媒活性を維持していることが証明された。

チームによると、この発見は、廃水浄化で実際に応用できる可能性があるという。さらに、この発見から、大規模な水処理に使える新世代の触媒システムを設計する方法について学べることがあるかもしれない。

「実用性があるだけでなく、この技術には、環境修復のための新しい方法を探求し発見し、持続可能な開発への道を開こうとする研究者に興味を惹きつける斬新性があります」 共著者で、同じくショウリーニ大学に勤務するパンカジュ・ライザダ (Pankaj Raizada) 准教授はこのように締めくくった。

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