2022年02月
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がんの病理検査、AIツールでデジタル化して簡略に インド工科大学マドラス校が開発

インド工科大学マドラス校 (IIT-M) の研究者らは、人工知能(AI)のディープラーニングと機械学習を組み合わせて、腫瘍のスライド画像全体からがんを診断できるツールを開発した。2021年12月13日付発表。研究成果は科学誌 Scientific Reports に掲載された。

このデジタル病理組織学ツールにより、がん診断にかかる工数と時間を大幅に短縮することが期待されている。

従来の病理組織では、腫瘍組織を約20ミクロンの薄さにスライスしてスライドに載せ、スライドの拡大画像を見て細胞一つ一つを確認し、手作業で、がんかそうでないかを鑑定している。これは非常に時間のかかる作業である。そのうえ、従来のデジタル処理には、スキャンした画像のサイズが非常に大きいこと、学習データが不十分であること、染色が研究室によって異なることなどの課題があった。また、ディープラーニングだけで細かい病気の分類を直接推測することは、計算時間の面で法外に高価であることが判明した。

こうした負担を軽減するために開発されたのが、今回のデジタル病理組織ツールである。研究者らは、ディープラーニングと従来の機械学習を組み合わせて使用するアルゴリズムを開発した。新ツールは、スライドを準備した後、高解像度の顕微鏡でスライド全体をスキャンし、デジタル化することでコンピューターによる解析が可能になる。

「組織領域を正常組織とがん組織に分類するためにディープラーニングを使用し、その後、従来の機械学習を用いてより細かい病気の分類を行う」とクリシュナムルシー (Krishnamurthy) 教授は説明する。

研究者らはアルゴリズムを検証するために、次の3つのオープンチャレンジに登録し、顕著な成果を残した。

  • 「CAMELYON17チャレンジ」
  • 「DIGESTPATH 2019チャレンジ」
  • 「PAIP 2019チャレンジ」

スリニバサン (Srinivasan) 教授はこの技術について「すぐにでも展開できるもので、私たちはこのソリューションを提供できるスタートアップ企業を持っており、ヘルスケアのパートナー候補を探している」と話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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