インド政府は、開発した人工知能(AI)ベースの顔認識システムを4つの空港に導入すると発表した。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが2月25日付で紹介した。
インド政府は、コンピュータービジョン・テクノロジーを使用した顔認識システム「Digi Yatra:DY」を開発し、第一段階として、ヴァラナシ、プーン、コルカタ、ヴィジャヤワダの4空港で導入する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、インドでは列車やバスでの移動を避け、飛行機による旅を好む人が増え、空港内の密度が増加する傾向にある。DYは、空港でのセキュリティチェックにかかる時間を削減し、同時に対人での接触を削減し、感染を防ぐうえで役立つことが期待される。
DYを使用したい旅行者は、専用ポータルで登録を行いDY IDを取得する。作成されたDY IDはPNR(搭乗客の予約情報)にリンクされ、セントラルデータベースに保管される。
また顔認識は、登録時にAIが、
―を認識して各登録者の「顔の署名」(facial signature)を作成し、保存する。登録されたデータにより、専用ポータルはフライトの6時間前から空港、都市名、航空会社、乗客の詳細を確認できるようになる。
この顔認識システムはターミナルの入り口、セキュリティチェック・エリアなど空港内の数カ所に導入される。DY IDと、すでにインドで普及しているAadhaar(アドハー)Card ID(生体認証システムID)と併用することにより、空港でのIDチェックやヘルスチェックを強化できると期待されている。またDY IDの追跡機能により、失踪者や、感染が疑われる人の発見にも貢献できる。インド政府は、4空港での導入結果をみてDY IDを国内の他の空港への導入も検討する。
インド最高裁判所の弁護士で長官を務めるサンケット・M・イェナギ(Sanket M. Yenagi)氏は、「顔認識システムは、空港のセキュリティや医療予防処置を強化し、同時に旅行者と空港関係者のタッチポイント数を減らすことに役立つだろう」と自信を見せている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部