インドの政府能力開発委員会(CBC)(※1)と最高科学顧問事務局(PSA)は2月9日、新時代技術、プロセス改善に関する必要性に関して、全州の科学技術部門と評議会が参加するスキルアップおよび人材育成に関するオンライン会議を共同開催した。インド政府が推進する「自立したインド」(Atmanirbhar Bharat)の実現のため、研究機関、政府および産業界が1つのエンティティとして機能し、市民に新しいテクノロジーをもたらす必要があるからだ。
この会議では、サービス提供および、中央と州レベルの科学機関の間のコラボレーションメカニズムの設計と改善における最初のステップとなる。加えて、専用の科学、技術、イノベーション能力構築セルがPSA / CBCに設置され、政府のサービス提供における技術採用の現在の障壁に対処し、研究開発活動への業界の参加を促進し、州を支援し、未来のテクノロジー人材を育成するもの。
会議で、科学技術部上級顧問のアキレシュ・グプタ博士は、「ラストワンマイルの問題を解決する努力は必要であり、科学、技術、革新(STI)エコシステムを強化し、科学技術を使用して国の課題に対応するという、より明確な目的が非常に不可欠。州レベルのSTI政策は、共同作業の前向きな時期を保証する」と述べた。
PSA事務局の責任者であるアラビンダ・ミトラ博士(※2)、新興インドの科学技術の展望をさらに改善するため、科学者、学者、機関が関与する能力を構築する一貫したアプローチの必要性を繰り返し述べ、「Atmanirbhar Bharatを実現するために市民中心のサービスを提供するには、テクノロジー主導のイノベーションが非常に重要で、州が推進する繁栄するスタートアップエコシステムを最大限に活用する必要がある」と述べた。
CBC事務局長のヘマン・ジャニ氏は、セクター別の課題を解決し、より良い学習とソリューションの迅速な適用のために、州とその資源間の相乗効果を探求し、国内でイノベーション交換・交流のメカニズムを開発する必要性についての見解を共有した。そのうえで、「STIエコシステムは、学界や企業などのさまざまな利害関係者のチームワークであり、あらゆるテクノロジーのライフサイクルにおける開発のさまざまな段階をサポートする。中央と州政府の科学部門を同じテーブルに置くことは、科学技術を有効に活用するための最善の前進となる可能性がある」と表明した。
国内26州の代表者は、この共同演習への期待と、農業、再生可能エネルギー、サーキュラーエコノミー、廃棄物管理、ナノテクノロジーなどの技術を含む各セクター固有のニーズおよび望ましい技術的介入の必要性を表明した。
インド政府最高科学顧問(PSA)ヴィジェイ・ラグハヴァン(Vijay Raghavan)教授による閉会の辞では、各州の活動のポイントを照合するために、すべての州が行った努力を称賛し、インド全土でラストマイルサービスを提供するためにイノベーションをより有効に活用するよう求めた。さらに、「健全な政策決定は、州レベルと国レベルの両方からのデータに依存する必要があり、リソースは国の問題の解に必須で、PSAとCBCの事務局は、インド全土からの草の根的な現実を理解するため、より多くの相互作用・交流が必要である」と強調した。
(※1) 政府能力開発委員会(CBC):
すべての政府機関、訓練機関を調整および監督し、計画の実施を監視および評価し、ガバナンスを改善するための共有リソースを作成するために設立され、協調的かつ共同共有ベースで能力開発エコシステムを管理および規制する際の統一されたアプローチも保証する。
(※2) アラビンダ・ミトラ博士:
前職はインド科学技術庁(DST)の二国間協力部長で、科学技術振興機構(JST)との「さくらサイエンスプログラム」(SSP)や二国間科学技術共働研究事業(SICORP)等の推進における中心人物だった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部