2022年04月
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コロナ禍に対応、タッチレス(非接触)のタッチパネル技術を開発 インド

インド科学技術省は、印刷技術によって、タッチレス・タッチセンサーと呼ばれる低価格のタッチ兼近接センサーを開発したと3月14日付で発表した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が契機となり、我々のライフスタイルをパンデミックシナリオに適応させる取り組みが世界各国で始まっている。特に、セルフサービスのキオスクやATM、自動販売機などのタッチパネルが設置されている公共の場では、ウイルスが拡散する可能性が高く、そのリスクを低減するための対策が喫緊の課題となっている。

インド科学技術庁(DST)傘下の研究機関でベンガルールにあるナノ・ソフトマター科学センター(Centre for Nano and Soft Matter Sciences : CeNS)とジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(Jawaharlal Nehru Centre for Advanced and Scientific Research : JNCASR)は、パターン印刷式(解像度約300μm)の透明電極を製造する半自動化製造プラントを立ち上げ、最先端のタッチレス画面技術に利用できる可能性を明らかにした。

G. U. Kulkarni教授のチームによるこの研究は、CeNSがDSTのナノ・ミッション(Nano Mission)プログラムから研究資金の提供を受けており、その成果は Materials Letters 誌に掲載された。

このプロジェクトに携わるAshutosh K Singh博士は、「デバイスから9 cm離れた場所からでも近接タッチやホバータッチを感知するタッチセンサーを作製した」と話す。

もう一人の共著者であるIndrajit Mondal博士は、「我々は、このパターン化された電極を使ってさらにいくつかの試作品を作り、他のスマート電子機器への応用が可能であることを実証中である。これらのパターン化電極は、関心を持つ産業界や研究開発研究所から要望があれば提供し、共同プロジェクトを検討する用意がある」と語る。

この新しい低コストパターン化透明電極は、タッチレス・スクリーンやセンサーなどの高度なスマート電子機器に使用される可能性が非常に高く、このタッチレス・タッチセンサー技術は、接触によって広がるウイルスの拡散防止に役立つことが期待される。

図: タッチレス・タッチセンサーの模式図

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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