2022年06月
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世界の農地に「予測インテリジェンス」を提供...AI研究所開設 アグリテックのクロピン(Cropin)社

アグリテック企業のクロピン(Cropin)社が、新たに人工知能(AI)研究所を設立した。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが5月10日に伝えた。

クロピン社はアグリテック分野のスタートアップ企業。今回、設立されたAI研究所は地球観測、データサイエンス、農学、AIや機械学習(ML)の専門家などからなる30名のスタッフを抱える。同社が数年間にわたって集積・テストした地球観測やジオフェンシング(地図上にバーチャルのフェンスを設置し、特定のフェンス内への人やモノの出入りを把握する技術)のデータ、AIモデルの知識を利用して、世界中のすべての農地にインテリジェントなデータを提供するのが狙い。

農業資源のコンピューティングは、地域特有の歴史、天候予報データ、土壌データ、気候にもとづく農業条件、種子遺伝学、世界的な穀物の摘播・収穫パターン、土地情報、データや作業の管理方法などのデータをひとつにまとめて分析しなければならない複雑なプロセスである。

クロピン社独自の製品である「ナレッジ・グラフ」は、空間および時間軸の双方で継続的に拡大・蓄積された一兆ピクセルにのぼる農地データを使い、世界中のあらゆる国の農地を対象に、短時間で農業関連のAIモデルを提供する。同社は今回のAI研究所の設立を通して、農業が直面する複雑な問題の解決に向けたイニシアティブをとっていく予定。具体的には、農業のデジタル化、人口増加に対応する農作物の増産、農作物の不必要な損失の削減、農業従事者の生活のクオリティ向上などの課題の解決をはかる。

クロピン社の創立者で最高経営責任者(CEO)のクリシュナ・クマール(Krishna Kumar)氏は自社について、「まだアグリテックというカテゴリーがなかった2010年に設立され、以来、農業分野に変革をもたらすテクノロジーの構築を重視してきました。今回設立された研究所は、AIを利用した予測インテリジェンスを使って世界の農地に利益をもたらすでしょう」と今後の展望を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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