インド国道公団が、同公団のすべてのコンピューターネットワークの状態をチェックする新監視システムをインストールした。インド科学技術省が5月27日に発表した。このシステムは、同公団のシステムに対するハッキングや、システム内に存在するマルウェア、プログラムの誤作動などを見つけて通知するものだ。
システムを提供するセキュリティ・オペレーションセンター(SoC)の監視ソリューションは、ネットワーク内のリアルタイムイベント、エンドポイントのログ、ネットワークやインターネットのパケットデータを収集・処理して脅威を評価し、ネットワークのセキュリティを保護する。またこのソリューションには、脅威インシデントが発生した場合の対応の迅速化、セキュリティ違反の削減、レポートと通知機能の向上、ログ分析やデータ維持の向上などの利点がある。
SoCは、インド工科大学カーンプル校(IIT-K)のサイバーフィジカルシステムズ・テクノロジーイノベーションハブ(TIH)によって開発された。このソリューションは、完全オープンソースのコンポーネントおよび統合をベースとしている。TIHはこの2年間、インドのサイバーインフラストラクチャの推進プログラムに基づき、科学技術省の支援を受けて重要施設のセキュリティ、携帯電話セキュリティ、ブロックチェーン(分散型台帳)を利用したシステムの整合性、データプライバシーなどに重点を置いてきた。またTIHは、サイバーセキュリティ分野のスタートアップのサポートも行っている。
自己主権型アイデンティティ(SSI)とはユーザが自分の個人データについて完全な管理権をもつことを指すが、TIHはブロックチェーンを使ったSSIシステムも開発しており、インドのモディ首相はIIT-Kの卒業生にこのシステムを使って学位を授与した。
現在、TIHは通信省と協力しながら携帯電話データの流出などからエンドユーザーを保護する方法やスマートフォンのセキュリティ分析を行うツールの開発などを進めているほか、内務省、電力省、インド準備銀行、ウッタル・プラデーシュ州政府などともサイバーセキュリティについて提携している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部