インド工科大学マドラス校(IIT-M)はインド言語のためのオープンソース言語の人工知能(AI)構築を目指し、AI4Bharatのニレカニセンター(Nilekani Centre at AI4Bharat)を発足させた。7月28日付。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが伝えた。
ロヒニ・ニレカニ(Rohini Nilekani)氏とナンダン・ニレカニ(Nandan Nilekani)氏が、社会貢献団体ニレカニ・フィランソロピー(Nilekani Philanthropies)を通じて3億6000万ルピーの寛大な資金を提供し、このセンターを支援する。
キャンパス内で28日に行われた発足式では、学生、研究者、スタートアップ企業を対象にワークショップが開催され、インド語向け言語技術を構築するためのリソースについて議論が行われた。
AI4Bharatは、インドの言語のためのオープンソースの言語AIを構築するために、IIT-Mの主導で設立された。過去2年間、ミテシュ・カプラ(Mitesh Khapra)博士、プラティウシュ・クマール(Pratyush Kumar)博士、アヌープ・クンチュクッタン(Anoop Kunchukuttan)博士らによるチームが、インドの言語の機械翻訳や音声認識のための最先端のモデル開発などに貢献してきた。
IIT-Mのコンピュータ科学工学科の准教授ミテシュ・カプラ博士は、同センターの趣旨について「インドにおける言語の豊かな多様性と急速に拡大するデジタル世界を考えると、一般人のために言語技術を大きく進歩させることが重要です。英語やいくつかの言語では言語技術が大幅に向上していますが、インドの言語は遅れています。センターの焦点は、このギャップを埋めることです」と語っている。
マイクロソフト(Microsoft)社の研究者、アヌープ・クンチュクッタン博士は「インドの多様な言語のためのAI技術の構築は、大規模なデータセットと計算能力が必要となるためコストがかかります。そのような状況で、オープンソース言語AIを構築する取り組みに対して複数の組織からご支援を賜り、感謝しています」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部