インド理科大学院(IISc)は、同大学院とCELLINK社が共同で3Dバイオプリンティング研究に特化した研究施設を設立すると発表した。8月19日付け。
CELLINK社は3Dバイオプリンティング分野で先端を行く企業。IIScはCELLINK社から提供された最先端のバイオプリンターを活用し、今回設立されるセンター・オブ・エクセレス(CoE)について、3Dバイオプリンティング分野における研究・トレーニングのハブとすることを目指す。CoEはIIScのバイオシステム科学技術研究所(BSSE)内に設置される。
3Dプリンティングは生体細胞の構造を複製すること目指し、医学研究や医療においてこれまで使われてきた生細胞、増殖因子、生体材料に続く新規材料を提供する。現在、薬剤や治療の研究目的で皮膚や臓器をバイオプリンティングで作製することが可能になっている。
CoEでは、大学院内外の研究者が3D細胞を最大限に活用できるように、彼らが3Dバイオプリンティングのスキルを学ぶことができるワークショップを提供する。またIIScとCELLINK社はともに細胞工学、創薬、材料科学、再生医学・個別化医療など幅広い分野における3Dプリンティング研究プロジェクトに対するアドバイスも行う。3Dプリンティングは多様な医療分野に適用できるが、CoEは心臓、骨、骨髄、がん治療に関連する研究プロジェクトに重点を置く予定。
IIScの学院長であるゴヴィダン・ランガラジャン(Govidan Rangarajan)教授は、今回設立されたCoEについて、「3Dバイオプリンティングの研究・技術開発分野における新しい道を開くことに貢献するでしょう。これは、IIScに医学大学院を設立するという新しい取り組みとも非常に親和性が高いと言えます。CoEを通じた学際的なコラボレーションにより、安価なヘルスケアのための新しい医療技術が生まれることを期待しています」と提携の意義を強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部