2022年11月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2022年11月

明るい光を安定的に発するLED開発へ-ペロブスカイト・ナノ結晶の安定性を高めるプラズマ処理で インド

一般的な光源として、より高輝度でコスト効率が良い発光ダイオード (LED) の開発が望まれていることから、商業的に実用化の可能性が高い新素材・材料の開発がこれまでの大きな課題であった。そして、いくつかの無機ナノ材料のプラズマ処理は、将来の照明光源となり得る高輝度で安定性の高い手頃な価格の発光ダイオード (LED) の開発への可能性を示していた。

インド科学技術庁 (Department of Science and Technology: DST) 傘下の独立研究機関であるナノ・ソフトマター科学センター(Centre for Nano and Soft Matter Sciences: CeNS)は、セシウムハロゲン化鉛ナノ結晶(Cesium Lead Halide Nanocrystals)の無機材料(Inorganic Material)の単純なプラズマ処理が、何重もの安定化を促進し、より明るく安定した LED 開発の可能性を示していると10月19日付けで発表した。

Pralay K. Santra 博士が率いる研究者チームは、無機ペロブスカイト・ナノ結晶(Inorganic Perovskite Mano-crystals)の安定性を高めるプラズマ処理のメカニズムが、発光を促進できることを発見したのだ。プラズマ処理は、ナノ結晶の表面に存在する有機分子とオレイルアミンの架橋を誘発する。このことにより、リガンド(生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質)のより強力なネットワークが生まれ、より優れたカプセル化とより高いPL(光ルミネセンス)強度が生まれるものだ。

(画像はPIBリリースより)

さらに、同研究チームはプラズマ処理の方法を使用して二重層セキュリティタグを製造する新しい偽造防止アプリケーションも開発し、インドでの暫定特許を申請し、技術を商業化するためのパートナーを探しているという。

この研究結果は、ジャーナル「ACS Applied Nano Materials」に最近掲載された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る