2023年01月
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エネルギー効率の高いコンピュータープラットフォームを構築 インド理科大学院

インド理科大学院(IISc)は、IIScのナノサイエンス・エンジニアリングセンター(Centre for Nano Science and Engineering:CeNSE)の研究者が、次世代電子デバイスの構築に有望なエネルギー効率の高いコンピュータープラットフォームを開発したと発表した。研究成果は2報の論文として学術誌 Advanced Materials に掲載された。

膨大なエネルギーを消費するデータセンター市場の成長は、世界の電力需給に深刻な影響を与える。高速で優れた性能を持つコンピューターやデバイスの需要が高まるにつれ、エネルギー効率の高い代替品を開発することが求められる。

研究チームは、今日の多くの電子回路の構成要素となっている相補型金属酸化膜半導体(CMOS)に代わって、データの保存と計算の両方を実行できるメモリスターと呼ばれるコンポーネントを使用し、エネルギー効率の高いコンピュータープラットフォームを構築した。このメモリスターは有機金属複合体をベースにした独自の設計を持つことで、回路に必要な部品点数を減らし、速度と効率を大幅に向上させた。

論文に掲載された2つの研究を主導したCeNSEのスリートッシュ・ゴスワミ(Sreetosh Goswami)助教は、「複雑な論理機能をそれ自体がキャプチャできる分子回路を見つけました。これによって、これまでより短い時間でメモリ内の計算が可能になるとともに、計算のために使用する物理スペースを通常よりはるかに減らすことができました」と話した。

既存のコンピューターは、計算とデータ保管を別々の場所で行う設計となっており、その両者の間で行われる双方向の通信に多くのエネルギーを使う。ゴスワミ助教は、「計算と保管を同じ場所で実行できるようにすることで、問題を解決しました」と、エネルギー効率を高めることができた理由を説明した。

2022年12月2日付け発表。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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