2023年01月
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緑茶のポリフェノール等使用―コロナにも対応の細菌破壊エアフィルターを開発 インド

インド科学技術省は、インド理科大学院(Indian Institute of Science: IISc)の研究チームが、緑茶に一般的に含まれるポリフェノールやポリカチオン性ポリマーなどの成分を使用して細菌を不活性化できる細菌破壊エアフィルターを開発したことを発表した。

米シガコ大学の報告によると、空気中の汚染物質が呼吸器疾患を引き起こし、身体の健康と精神の健康に悪影響を与えるため、インド人は5~10年も寿命が短くなる可能性があるとしている。

新たに開発されたエアフィルターは、ポリフェノールやポリカチオン性ポリマーなど緑茶に存在する成分を使用して、システムから細菌を「セルフ・クリーニング」して不活性化し、また、これらの「緑色」の成分は、部位特異的な結合によって微生物を破壊するという。

今回のフィルターは、エアコン、中央ダクト、空気清浄機に使うことで、汚染された空気の浄化において重要な役割を果たし、汚染防止だけでなく、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などの空中病原体の拡散も軽減するとしている。

既存のエアフィルターは、長期間使用すると捕捉された細菌の繁殖地となる。これらの細菌の増殖はフィルターの細孔を詰まらせ、フィルターの寿命を縮めるだけでなく、細菌の再浮遊は、周囲の人々に感染を引き起こす可能性がある。このフィルターは、国立試験校正認定委員会(National Accreditation Board for Testing and Calibration Laboratories: NABL) でテストされた結果、99.24% の効率でSARS-CoV-2のデルタ変異株 を不活性化することが分かった。同技術は、既存の細菌増殖エアフィルターを細菌破壊エアフィルターに置き換えて製品化するスタートアップ企業のAirthに移管された。

この研究は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの最中に、科学工学研究委員会(Science & Engineering Research Board:SERB)からの特別助成金とSERB-Technology Translation Awards (SERB-TETRA)の資金によって支援され、関連の特許が申請されている。

Airthの新型フィルター(右)と通常のフィルター(左)の微生物増殖比較
(PIBリリースより)

2022年12月17日付けで発表した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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