インド工科大学マドラス校(IIT-M)は同大の研究者が、海洋の波を利用して発電するための海洋波力発電装置(Ocean Wave Energy Converter)を開発したと発表した。装置の試験は無事完了した。
海洋波力発電装置は、タミルナードゥ州トゥティコリンの沖合約6キロメートル、水深20メートルの海域に設置され、3年間で1メガワットの発電を行うことを目標としている。このプロジェクトは、持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(UN Ocean decade)や持続可能な開発目標(SDGs)に寄与し、インド政府が推進する深海ミッション、クリーンエネルギー、ブルーエコノミーに貢献する。また、気候変動問題に関連して、2030年までに500ギガワットの再生可能エネルギーの発電を掲げるインド政府の目標にも合致する。
この装置は、洋上で電気と通信を必要とする機器向けに開発された。対象となるステークホルダーは、石油・ガス、防衛・セキュリティ、通信の各分野となる。
IIT-M海洋工学科のアブダス・サマド(Abdus Samad)教授は、波力エネルギーについて10年以上の実績があり、このプロジェクトを主導する。同教授は、IIT-Mに最先端の「波動エネルギー・流体工学研究所(WEFEL)」を設立し、航行ブイやデータブイなどの小型デバイス用の電力に関する研究なども行っている。
サマド教授はこの装置がインド社会に大きな影響を与えるとし、「インド国内にある7,500キロメートルの海岸線を利用すると54ギガワットの発電が可能になる。これは国内のエネルギー需要のかなりの部分を賄える」と話した。
2022年12月5日付け発表
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部