2023年02月
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複数の物質を感度よく迅速に検出できる「スーパーセンサー」開発 インド

インド工科大学マドラス校(IITーM)は1月17日、応用力学部のジェイ・クズハンダイ・シャムリー(J. Kuzhandai Shamlee)氏の研究チームが複数の物質を感度よく迅速に検出できるマルチモードタイプのUベント光ファイバーセンサー(U-FOS)を開発したと発表した。U-FOSは幾何補正の手法を用いて、性能の改良が行われた。研究成果は学術誌 Biosensors and Bioelectronics:X に掲載された。

病気を迅速に特定し治療を行うためには、限られた時間の中で、複数の有害物質を同時に検出する必要がある。今回開発されたセンサーは、医療分野だけでなく、環境分野や食品分野における病原体や毒性物質のモニタリングにも利用できる。

光ファイバーセンサー(FOS)を用いた測定は、互換性、サンプル容量、分析コストなどの点で優れており、複数の物質を測定することができるマルチモードタイプのFOSの開発が広く進められている。

  • ただ、U-FOSを用いた測定には
  • ① 再現性を有するU-FOSの製作
  • ② U-FOSの光ファイバー接続
  • ③ 光-電子変換装置と光-機械変換装置の開発
  • --に関する問題がある。

研究チームは今回、U-FOSを利用した測定装置として初となる8チャンネルの光ファイバー吸光度バイオセンサー(ArFAB)を開発した。彼らは、ArFABの製作において、信頼性と拡張性のあるU-FOSを開発するため、特許で保護されている二酸化炭素レーザーベースの自動化プロセスを活用した。

この研究で最も重要な成果は、化学成分の検出において、高感度U-FOSの利用の可能性を示したことである。ドイツにあるライオネックス(Lionex GmbH)社 CEOのマハヴィール・シン(Mahavir Singh)博士は、ArFABの重要性について次のように述べた。

「ArFABは、安価で高感度な光-電子変換装置であり、タンパク質や病原体の検出、試料のリアルタイム分析などのユニークな利点を備えていて、ハイスループット解析に応用できる可能性がある。今後、ArFABを用いて実試料中の病原体を検出できるか試験する予定だ」

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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