「科学者が伝えなければ、科学者でない者が伝え始め、多くの誤情報や偽情報が発生する。したがって、科学者を科学コミュニケーションの重要な仕事に関与させることは不可欠だ」。インドCSIR国立科学通信政策研究所(CSIR-NIScPR)とインド医学研究評議会(ICMR)が共催したヘルスコミュニケーションに関する対面セッションにおいて、CSIR-NIScPR所長のランジャナ・アッガーワル (Ranjana Aggarwal) 教授はこのように述べた。2022年11月16日に開かれた同セッションの概要を振り返る。
彼女は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックから多くの教訓を学び、不確実な日々の中で科学コミュニケーションが非科学的なものを根絶するために非常に重要な役割を果たしたことを確認したと述べた。
このプログラムには、ICMRのさまざまな研究所から30人の科学者が参加した。ICMRゴラクプール地域医療研究センター所長のラジニ・カント (Rajni Kant) 博士は参加した科学者らについて、彼らはICMR研究所の「スーパー30科学者」であり、この科学コミュニケーション課程の修了後、熟練した科学コミュニケーターになると確信していると述べた。カント博士によると、ヘルスコミュニケーションのコースを最初に開始したのはICMRであるという。
最初の技術セッションでは、4人の専門家が講演した。CSIR-NIScPRの首席科学者であるR.S.ジャヤソム (Shri R.S. Jayasomu) 氏は、「研究コミュニケーション対科学コミュニケーション:時間の必要性」というテーマで、CSIR-NIScPRの首席科学者であるY.マダビ (Y. Madhavi) 博士は「ポストコロナ時代のヘルスコミュニケーション」というテーマで講演した。また、CSIR-NIScPRの科学者であるマニシュ・モハン・ゴア (Manish Mohan Gore) 博士は、「さまざまなメディアに向けての一般向け科学論文」について話し、CSIR-NIScPRの首席技術官であるアシュワニ・ブラミ(Shri Ashwani Brahmi) 氏は、ICMR の参加科学者と科学コミュニケーションにおける生産と印刷のノウハウについて話し合った。
2回目の技術セッションでは、上級科学コミュニケーターでありフォトジャーナリストであるパレイ・バグラ (Shri Pallav Bagla) 氏は、「科学を伝える賢い方法」について参加者と対話を行った。CSIR-NIScPR の科学者であるパラマナンダ・バルマン (Paramananda Barman) 博士は、インドの伝統的知識の科学的検証に焦点を当て「卍とメディア報道に関する洞察」というテーマで、CSIR-NIScPR の科学者であるメヘー・ワン (Meher Wan) 博士は「研究を一般大衆に伝える方法」というテーマでそれぞれ講演した。
ICMRラボからの参加者は、今回のセッションで専門家による興味深い講義から多くの知見を得ることができた。また、参加者らが自分の専門分野に関する一般向けの科学記事を執筆し、CSIR-NIScPRの一般大衆向け科学雑誌であるScience ReporterやVigyan Pragatiに掲載することを目的としてCSIR-NIScPR に提出することが計画された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部