インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月19日、同大学が支援するスタートアップが国内のスマートフォンに対応するモバイルオペレーティングシステムを開発したと発表した。インド国内にいる10億人のモバイル端末利用者が潜在的な受益者となる。
BharOSと呼ばれるモバイルオペレーティングシステムは、市販の携帯電話にインストールすることができる。BharOSは、利用者に安全な環境を提供し、インド政府が進める「自立したインド」(Atmanirbhar Bharat)に貢献する。
BharOSのサービスは現在、厳格なプライバシーやセキュリティーを求められる組織に対して提供されている。こうした組織の利用者は、モバイル端末上の制限付きアプリで機密情報を扱っており、専用ネットワーク(プライベート5G)を介して、プライベートクラウドサービスへアクセスする必要がある。
BharOSはJandKops社によって開発された。IIT-Mは、非営利財団であるIIT-M・プラヴァルタク・テクノロジーズ財団を通して、JandKops社を支援している。
IITマドラス・プラヴァルタク・テクノロジーズ財団は、インド政府が推し進める「学際的サイバーフィジカルシステムに関する国家ミッション」の下、インド科学技術庁(DST)から資金を受けている。インドはこうした取り組みを通して、情報セキュリティー分野でトップレベルにある国々と肩を並べることを目指している。
IIT-MのディレクターであるV・カマコティ(V. Kamakoti)教授は、1月19日に行われた記者会見で次のように述べた。
「BharOSは、信頼を基盤として構築されたモバイルオペレーティングシステムだ。利用者は、自身のニーズに合ったアプリのみを選んで使用することができる。BharOSは、モバイル端末の自由度、制御性、柔軟性を向上させる。この革新的なシステムは、モバイル端末のセキュリティーとプライバシーに対する利用者の考え方に革命をもたらすことだろう」
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部