2023年04月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2023年04月

輸出管理時代に米印のハイテクパートナーシップを構築するには Carnegie India

米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)が3月7日、ハイテク分野における米印のより緊密なパートナーシップの重要性と、その障壁となる可能性のある米国の輸出管理規制への対処に関して以下のような見解を投稿した。

米中のデカップリング(切り離し)の影響を受けて、世界はサプライチェーンの移転や多様化に向かっている。インドも中国からの重要な移転先候補と見なされており、既に携帯電話等の消費者向けテクノロジーではこうした移転が進んでいる。しかし、インドの成長を加速させるには、半導体や高性能コンピューティング(HPC)、商用宇宙技術等の最先端ハイテク分野により注力する必要がある。

2022年に発足した「重要技術・新興技術に関するインド・米国イニシアティブ(initiative on Critical and Emerging Technology: iCET)」は、これらのハイテク部門における両国の連携を促進する枠組みとして大いに期待されている。しかし、特に宇宙技術等の分野では、国際武器取引規則(International Traffic in Arms Regulations: ITAR)に基づく米国の輸出管理規制が協力の障壁となる可能性がある。

現状、ITARによってライセンス供与に要する手続きの長期化や、技術移転に関する許可取得の困難さが生じている。こうした煩雑さはインドのスタートアップによるライセンス申請や社内の技術移転を妨げ、米国企業がサプライヤーの地位を欧州等に奪われる要因にもなりうる。

iCETを通じた技術へのシームレスなアクセスを実現するには、ITARによる規制への対処について両国が合意を形成する必要がある。また、米印間の技術協力への切迫した必要性は、今後米中間の緊張が緩和された場合に変化する可能性があるため、この協力に投資する政治家や関係者は、今こそあらゆる資源を投入してiCETを推進する必要がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る