インドのムンバイ市政府(BMC, Brihanmumbai Municipal Corporation)にある9つの病院で2021~22年にかけて、人工知能(AI)搭載のX線スキャンの実証試験が行われ、無症状の結核患者の早期診断に有用であることが示された。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが3月29日付で伝えた。
実証試験は、BMCとデジタルスタートアップ企業であるqure.ai社によって進められた。AIソフトウェアは数百枚の結核胸部X線写真を読み込ませた後、実際に撮影したスキャン画像の診断に活用された。2021~2022年の2年間で、BMCの9つの病院で約10万人がAI搭載のX線スキャンを受け、その結果発見された結核患者の中には無症状の早期患者も多数含まれていた。
BMCの保険担当役員であるマンガラ・ゴマレ(Mangala Gomare)医師は「確定した結核患者の約35%は結核患者群以外から偶然発見されたもの。AIを使った診断は患者に症状がない場合でも早期診断ができるため非常に有効だ」と話す。
BMCは保健分野におけるAI活用のマイルストーンとなる本プロジェクトの成功により、他のAI企業とのさらなる長期的な提携を期待している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部